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2007年03月11日放送
「てこと滑車」

今回のテーマは「てこと滑車」!
てこと滑車が生み出す不思議なパワーを徹底検証!
過去の実験一覧はコチラ!!

■「てこの原理」を使って

割りばしで栓を抜こう!
<準備するモノ>
  • ビン入りジュース
  • 割りばし
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<実験方法>

割りばしの先を栓(王冠)の下にあて、
ビンを握って、その割りばしを指で支える。
この状態で割りばしの反対側を勢い良く押し下げると・・・

<実験結果>

ビンの栓が抜けた!

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【解説】

ビンの栓が抜けたのは「てこの原理」の応用。
てこの力を利用するには、「力点」・「支点」・「作用点」が必要となる。
この場合、割りばしに力を加えた場所が「力点」、
支えている人差し指が「支点」、
割りばしの先から栓に力がかかる場所が「作用点」になったため
ビンの栓が抜けた。

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注意:栓を抜く時に力を入れすぎると、王冠が勢い良く飛ぶので、注意して下さい。

■「てこの原理」で体重を量る

<実験・1>

でんじろう先生が作った「てこの原理説明機」は
30cmほどの角材の中心にヒモをつけて支点とし、
同じ間隔にネジを取り付けたもの。
「てこの原理説明機」の支点から1目盛の所に、おもりを4個吊るす。
そして支点の反対側、2目盛の所におもりを2個吊るすと・・・

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<実験結果>

おもりの数が違うのに吊り合った!

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【解説】

てこ(てんびん)では、
左右それぞれの腕の「支点からの距離」×「重さ(力)」の
数値が等しければ吊り合う。
上の<実験・1>でも左右の腕のバランスは、
4(1目盛×おもり4個)=4(2目盛×おもり2個)と
なっていることがわかる。

<実験・2>

ロープを中心に結んだ長い棒を用意。
体重を量る人を支点(ロープを結んだ所)から30cmの所にぶら下げる。
そして、逆方向、支点から180cmの所に大きなカゴを吊るす。
あとは色々な種類の野菜をカゴに入れ、両方の重さが吊り合うまで乗せていく。
吊りあった時点の野菜の重さを測ってみると…

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<実験結果>

野菜の重さは11.5kg!
支点をはさんで人とカゴを吊るした位置の比は1:6。
従って、この場合の体重は野菜の重さを6倍にした数字、
つまり69kgとなる。
力を基準に考えると、<実験・2>のように支点から遠いほど
吊り合うために必要な力は少なくてすむ。

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■少林寺拳法の達人はてこの達人?

「てこの原理」は少林寺拳法にも活かされていました!
そこで「てこの原理」を使った少林寺拳法の技を少しだけ紹介します!


『十字小手(じゅうじごて)』

自分が相手に手をつかまれた時に、その手を支点にする。
そして、相手の手の甲をつかみ、自分の左腕をてこの棒として利用する。
体全体の力を使って、このてこの棒を上げることによって関節を極める技。

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注意:少林寺拳法の指導を受けてない人が技をかけると大変危険なので
絶対に他の人に対して技をかけないで下さい。

■人間の体は「てこの原理」

人間の体は「てこの原理」が一杯詰まっている。
例えば、手を使って物を持ち上げる時には、
関節が「支点」、筋肉が「力点」、物を持つ手が「作用点」となる。

■ぎっくり腰も「てこの原理」

中腰で物を持ち上げる時、背骨が支点、物を持つ場所が作用点、
そして背筋(はいきん)が力点になる。
作用点が遠いほど力点の背筋に強い力が要求され、
この負担が支点の背骨(腰)にかかってしまい、
ぎっくり腰になる。

■驚くべき滑車パワー!

<実験・1>

ブランコを※定滑車に吊り下げて、人が座った状態で、
引っ張り上げてみる。

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<実験結果>

引っ張り上げることが出来なかった。

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<実験・2>

今度は3個ずつの定滑車と※動滑車を組み合わせて、
人が乗ったブランコを引っ張り上げてみる。

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<実験結果>

楽々引っ張り上げることが出来た!

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<解説>

滑車は定滑車と動滑車を組み合わせて、
小さな力で強い力を生み出すことが出来る。
実験・1のように定滑車だけを使い引っ張り上げた場合、
人を持ち上げるのと変わらない力が必要になるので、
持ち上げることが出来なかった。
実験・2で引っ張り上げることが出来たのは、
定滑車と動滑車を組み合わせて使ったからである。
動滑車を使うと、
「動滑車にかかるロープ本数分」の1の力で持ち上げることが出来る。
この実験では3個の動滑車を組み合わせたため、
本来要る力の1/6の力で引っ張り上げることが出来た。

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※定滑車…固定された滑車で、力の向きを変える。

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※動滑車…固定されていない滑車で、小さな力で重いものを移動させることが出来る。

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この「滑車」の驚くべきパワーを使って、
小学生達が綱引きのチャンピオンに挑戦するという、
実験をしてきました!

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<実験・1>

木にロープを巻きつけて固定し、
6個ずつの「定滑車」と「動滑車」を組み合わせたものを仕掛け、
8人の消防署チームは動滑車につながるロープを引っ張ります。
一方、小学生チーム18人は12個の滑車を通したロープを
消防署チームと同じ方向に引っ張ります。
果たして結果は?

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<実験結果>

小学生チームが圧勝!

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<実験・2>

さらに、先程の実験と同じ条件で、
小学生チームの人数を5人に減らして、もう一度勝負!

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<実験結果>

小学生チームの勝利!!

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【解説】

小学生チームが勝てたのは、6個の「動滑車」を使ったことにより、
5人の小学生達の力が12倍になっていたからである。
つまり、5人でも60人分の力まで増やしていたからである。
そのため、1トン以上の力を誇る消防署チームにも勝てた。


★番組からのお願い★

「ラブラボ!」は大人から子供までを対象に、教科書等の理論だけでなく、実験を通して楽しく遊びながら、実際に体験し・手先を動かし・自分で工夫をこらす事によって科学を理解し、興味を持つきっかけとなれるような番組を目指しています。

その為、当HPでも皆さんの参考にしていただけるよう、番組で紹介した初歩的な科学実験の一部を掲載していますが、実験によってはカッターやハサミ等の刃物や小さな部品、工具等を使ったり、火気やドライアイス、家庭用洗剤等の薬品を使うモノもありますので、ご家庭で行う場合には各自の責任において十分にご注意下さい。

また実験や工作に小さなケガは付き物ですが(紙一枚でも手が切れたりします)、正しい手順と(器具の)正しい使用で危険は大きく減らせます。特にお子様が実験をする場合には、必ず大人の監督・指導の下、行って下さい。番組の趣旨をご理解の上、以上宜しくお願いします。