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2007年04月22日放送
「牛乳 」

今回のテーマは「牛乳 」!
過去の実験一覧はコチラ!!

■牛乳の不思議なミクロの世界

<牛乳は生きている?>

牛乳を2000倍の倍率で見てみると、
粒上のものが動いていて、まるで生きているように見えます。
動きまわっている丸い粒上のものは牛乳に含まれている乳脂肪などで、
この粒に、さらに小さく目に見えない水の分子がぶつかって動いているのです。
この現象は発見者の名をとって「ブラウン運動」と呼ばれています。

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<牛乳は何で白く見える?>

牛乳は約90%が水で出来ていて、後の10%は乳脂肪などの色々な成分で出来ています。
ただしこれらの成分は、水に溶けているわけではなく、
水の中に(粒状に)散らばっている状態のため、
雲や霧のように光を乱反射して白く見えるのです。
この状態を「コロイド」といいいます。

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■牛乳から手作りバターを作ろう!

<準備するモノ>
  • ※生クリーム(乳脂肪が35%以上のもの)
  • 氷水
  • フタ付きの容器
  • ガーゼ
  • 容器
<作り方>
  1. フタ付きの容器の中に生クリームと氷水をそれぞれ20ml入れて、
    フタをしっかりしめる。
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  2. 5分間、容器を振りつづける。
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  3. 5分間振りつづけると、中に黄色い固まりが出来るので、
    別の容器にガーゼをしいてこす。
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  4. さらにガーゼをしぼって、余分な水分を取り除く。
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  5. 水分を取り除いた固まりに塩を加えて味を調えると…
    手作りバターの完成!
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【解説】

牛乳や生クリームの中には、膜に包まれた小さな粒状の乳脂肪が入っています。
この乳脂肪を冷やしながら振動を与え続ける事で、粒を包む膜が破れ、
脂肪同士がくっついて固まり、大きくなって沈殿します。
この固まりがバターなのです。

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※ここでは脂肪分を取り出しやすくするため、
脂肪分35%以上の生クリームを使用します。
生クリームは牛乳から乳脂肪を中心に取り出したもので、
脂肪分18%以上のものを言います。(ちなみに牛乳は脂肪分3%強)

■牛は1日でどれだけ牛乳を出す?

言われてみると気になるこの疑問。
そこでラブラボ!はこの素朴な疑問を解決するべく、
牧場で調査してきました!
乳牛は平均2歳からお乳を出し始め、
そのピークは3歳から4歳と言われています。
そこで今回、協力してもらった牛は4歳の「ゆうかちゃん」。
1日にお乳をしぼり出すのは早朝と夕方の2回。
一体、ゆうかちゃんは1日にどれだけのお乳を出すのでしょうか!?

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<調査結果>

午前5時17.4kg

午後4時14.4kg

17.4kg(朝)+14.4kg(夕方)=31.8kg!(1日)


何とゆうかちゃんは1日に31.8kgもお乳を出していました!
これは牛乳パック(1リットル入り)約32本分にもなるんです!


<とっても便利!ミルカー>

しかし、手作業で乳しぼりをしていたら肉体的にも時間的にもとっても大変!
お乳をとられる牛の負担も大きくなります。
そこで、牧場ではその手間をはぶくため
「ミルカー」と呼ばれる便利な搾乳機(さくにゅうき)でお乳をしぼっています。
この「ミルカー」は真空ポンプを使い、お乳を包む容器の中と外との間に圧力差を作り、
お乳を吸い出します。

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■牛乳を温めるとできる、膜の秘密

牛乳の膜は牛乳が40度以上になるとできます。
これは牛乳の水分が蒸発し、脂肪などの成分が濃縮されると共に、
表面と空気の境界面(きょうかいめん)でタンパク質が固まるからなのです。
ちなみに、料理で使われる「湯葉(ゆば)」も同じ現象でできるのです。

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■牛乳のタンパク質でおいしい実験

<準備するモノ>
  • 30度位に温めた牛乳
  • レモン
  • 容器
  • ガーゼ
<実験方法>
  1. レモンをしぼって、温めた牛乳に少しずつ入れる。
    すると、白い固まりができる。
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  2. できた白い固まりを、ガーゼをしいた容器でこす。
    さらにガーゼをしぼって余分な水分を取り除く。
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  3. 水分を取り除いた白い固まりに塩を加えて、味を調えると…
<実験結果>

※カッテージチーズが出来た!

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【解説】

この白い固まりは牛乳のタンパク質で「カゼイン」と呼ばれるものが固まったもの。
カゼインは牛乳に含まれる乳タンパク質の約80%を占めています。
牛乳に酸(レモン汁)を加えると、カゼインは固まって、沈殿(ちんでん)します。
これをこしとったものが「カッテージチーズ」になります。
ちなみに、カゼインは食べ物以外にも、
印鑑やボタンなど意外な所でも使われているのです。

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※カッテージチーズ…軟質のナチュラルチーズの一種。サラダなどに使われています。

■牛乳からプラスチックを作ろう!

<準備するモノ>
  • ※食酢(酸)を使って取り出したカゼイン
  • おもし(厚めの本など)
  • 吸水性のある紙
  • 電子レンジ

※前の実験で使ったレモン汁の代わりに食酢を使っても
牛乳からカゼインを取り出すことができます。
これは食酢がレモン汁と同じ酸性のためです。
ちなみに、前の実験でレモン汁を使ったのは、カッテージチーズを食べるのに、
酢よりレモン汁の方が適していたためです。


<作り方>
  • 型にカゼインを入れて押し固める。
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  • 押し固めたカゼインを取り出し、吸水性のある紙で包み、さらにおもしを乗せて
    出来る限り水分を取り除く。(カゼインは乾燥させることで固くなる)
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  • 水分を取り除いたカゼインを電子レンジで加熱し、さらに水分を取り除く。
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  • 加熱して水分を取り除いていけばカゼインプラスチックの出来上がり。
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※加熱しすぎるとカゼインが焦げてしまうので注意して下さい。


<おまけ>

カゼインにアクリル繊維の原料となるものを結び合わせると
「プロミックス」と呼ばれるミルク繊維ができます。
これはタオルやストッキングなどに使われています。
この繊維はシルクのような風合いと光沢があり
吸湿、速乾性や適度な保湿性があると言われています。

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★番組からのお願い★

「ラブラボ!」は大人から子供までを対象に、教科書等の理論だけでなく、実験を通して楽しく遊びながら、実際に体験し・手先を動かし・自分で工夫をこらす事によって科学を理解し、興味を持つきっかけとなれるような番組を目指しています。

その為、当HPでも皆さんの参考にしていただけるよう、番組で紹介した初歩的な科学実験の一部を掲載していますが、実験によってはカッターやハサミ等の刃物や小さな部品、工具等を使ったり、火気やドライアイス、家庭用洗剤等の薬品を使うモノもありますので、ご家庭で行う場合には各自の責任において十分にご注意下さい。

また実験や工作に小さなケガは付き物ですが(紙一枚でも手が切れたりします)、正しい手順と(器具の)正しい使用で危険は大きく減らせます。特にお子様が実験をする場合には、必ず大人の監督・指導の下、行って下さい。番組の趣旨をご理解の上、以上宜しくお願いします。