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2007年05月06日放送
「不思議なウール」

今回のテーマは「不思議なウール」! 文明の発祥とともに、何千年も人類に愛用されてきたウール。 しかし、調べれば調べるほど不思議な存在だったんです!
過去の実験一覧はコチラ!!

■羊の毛刈り体験

ウールといえば羊! ということでスタジオに実際に羊を連れて来て、ラブラボ!メンバーで毛刈りに挑戦しました! 羊の毛は毛刈り専用のハサミを使って刈ります。 何とこのハサミの長さは約30cmもあるんです! 早速、ラブラボ!メンバーが毛刈りに挑戦してみると、なにやら手がベトベトする様子。 このベトベトするものは「ラノリン」という天然のオイルで、羊の皮膚(ひふ)表面や毛の中に含まれているんです。 口紅(くちべに)やハンドクリームの原料にも使われているんです。 羊の毛を全部刈り終えると、およそ3〜4kgもの羊毛が刈り取れました! これでセーターが3枚くらいは編めるんだとか!

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■ラブラボ!工場見学毛糸が出来るまで

刈り取られたウールは工場で加工され糸になります。
そこでラブラボ!工場見学!!


  1. 毛糸の原料となるウールはオーストラリアなどで刈り取られたモノで、 現地で洗毛されて日本へ運ばれて来る。 その量は1袋で羊40〜50頭分のウールが入っており、重さは約140kgにもなる。 これでスーツが50着以上も作れるという。
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  2. 針を植えたローラーを組み合わせた機械にウールの固まりを通してほぐし、薄いウールの膜を作る。
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  3. 薄いウールの膜を機械で束ねてロープ状にする。
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  4. ロープ状になったウールを6〜10本組み合わせて、 針の植えられた櫛(くし)でくしけずり、引き伸ばしながら細くしていく。 この作業はウールの繊維を平行にそろえて、均一な束にするためである。 この作業を繰り返し、さらに細くしていくとウールが箸(はし)ほどの太さになる。 しかし、この時点ではまだ弱く、すぐに切れてしまう。
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  5. 糸を強くするため引き伸ばしながらよりをかけて糸を紡いでいく。 この工程で使われている機械は1秒間に約1万2千回転で糸を巻き取っていく。
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■ウールの秘密

刈り取られたばかりの羊毛を小型カメラで見てみると縮れていることが分かります。 羊はこの縮れによって毛の中に体積の約60%もの空気を含むことが出来ます。 この空気が外気を遮断(しゃだん)して暑さからも寒さからも守ってくれるんです。

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■ウールは水をはじく?吸う?

<準備するモノ>
  • 綿生地
  • ウール生地
  • お湯入りビーカー
<実験1>

綿生地とウール生地にそれぞれに水滴を乗せる。

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<実験結果>

綿生地
・水がしみ込んでいく。

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ウール生地
・水がしみ込まず、水滴のまま残った!

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<実験2>

お湯入りビーカの上にウール生地をかぶせ、その上に水滴を乗せる。

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<実験結果>

<実験1>とは逆に、しばらくすると水滴が少しずつしみ込んでいった!

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<実験3>

体型も体質も同じ双子にそれぞれ綿100%のセーターとウール100%のセーターを着てバレエの練習をしてもらい、たっぷりと汗をかいてもらう。 実験終了後にそれぞれのセーターをペーパータオルに押し付け、どれくらい汗が吸収されているか比較する。

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<実験結果>

綿100%のセーター
・ペーパータオルに汗がベットリ付いた。

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ウール100%のセーター
・ペーパータオルに汗が全く付かなかった!

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【解説】

ウールを2000倍の倍率で見てみるとウロコ状の表皮が見えます。 この表面はエピキューティクルというものでおおわれていて、乾燥状態では水をはじく性質があるんです。 しかし、湿気を吸収するとウロコ状の表皮が開き、内部がむき出しになります。 このむき出しになった内部は水を吸収する性質(親水性)をもっています。 従ってウールと綿のセーターの実験では、ウールは繊維内部に水分(汗)を吸収し、表面は水分(汗)をはじくので、肌に当たった感触はサラサラに感じられるのです。 これに対し、綿は繊維全体でスポンジのように水分(汗)を吸収しており、一度すった水分がにじみ出しやすいので、肌にベットリとついてくるのです。

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■ウールの性質を利用したおもしろ工作

<準備するモノ>
  • 染色したウール
  • 芯になる球(プラスチックボールなど)
  • 台所用洗剤
  • ぬるま湯(40℃位)
  • 球形のカプセル
  • テープ
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<作り方>
  1. 染色されたウールを丁寧(ていねい)にほぐす。
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  2. 芯にウールをしっかり固く巻いていく。
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  3. ぬるま湯に台所用洗剤を数滴入れて、よくかき混ぜる。
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  4. 球形のカプセルの中に芯に巻いたウールを入れ、洗剤を混ぜたぬるま湯をかけていく。
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  5. カプセルにフタをして、中身がもれないようにつなぎ目をテープでとめる。
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  6. ひたすらカプセルを振り続ける。
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  7. 中のウールが縮んで小さくなってきたら、フタを開けて取り出す。 あとは、ウールに染み込んだ洗剤を洗い流せば…ウールが縮んでしっかりと固まっている!!
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【解説】

ウールのウロコ状の皮が水分によって開いた状態になっている時に圧力や振動を加えると、お互いに絡み合って離れなくなるんです。 この現象を「フェルト化」といいます。 (振動を与える前にぬるま湯に洗剤を加えたのは、洗剤に含まれるアルカリ成分がフェルト化を促進(そくしん)させる効果があるからです。) ちなみにウールのセーターなどを洗濯すると縮んでしまうのもこの現象なんです。

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■ウールは燃えにくい!?

<実験内容>

綿、麻、アクリル、ウールの4つの生地素材をそれぞれ燃やし、どの繊維が燃えやすいかを調べる。

<結果>


・植物繊維から作られているので、火をつけると直ぐに燃え始め、30秒ほどで焼け落ちた。

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綿
・麻と同様、植物繊維で作られているので、火をつけると直ぐに燃え始め、1分ちょっとで焼け落ちた。

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アクリル
・石油を原料にした合成繊維なので、とけるようにして燃え、1分30秒位で燃え尽きた。

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ウール
・縮れながら、くすぶるように燃えていくが、炎の方向にしか燃え広がらなかった! さらに、2分30秒後には全体が燃え尽きることなく火が消えた!!

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【解説】

ウールは動物性の繊維で中に約15%の水分と約16%の窒素(ちっそ)を含んでいるので燃えにくいんです。 また角度を変えて水平に置いたウールに着火用ライターで上から火をつける実験では、表面が焦げる程度で燃え広がりませんでした。 さらに発火温度も570〜600℃と高いので航空機のシートやカーペット、カーテンなどにも利用されています。

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注意:この実験は専門家の指導のもと行っています。実際に実験をする場合は、大人の監督・指導の下、消化設備を整え、周りに燃え移るもののない場所で行って下さい。


★番組からのお願い★

「ラブラボ!」は大人から子供までを対象に、教科書等の理論だけでなく、実験を通して楽しく遊びながら、実際に体験し・手先を動かし・自分で工夫をこらす事によって科学を理解し、興味を持つきっかけとなれるような番組を目指しています。

その為、当HPでも皆さんの参考にしていただけるよう、番組で紹介した初歩的な科学実験の一部を掲載していますが、実験によってはカッターやハサミ等の刃物や小さな部品、工具等を使ったり、火気やドライアイス、家庭用洗剤等の薬品を使うモノもありますので、ご家庭で行う場合には各自の責任において十分にご注意下さい。

また実験や工作に小さなケガは付き物ですが(紙一枚でも手が切れたりします)、正しい手順と(器具の)正しい使用で危険は大きく減らせます。特にお子様が実験をする場合には、必ず大人の監督・指導の下、行って下さい。番組の趣旨をご理解の上、以上宜しくお願いします。