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2007年06月03日放送
「バランス」

今回のテーマは「バランス」
過去の実験一覧はコチラ!!

■未来の乗り物セグウェイ!その仕組みとは?

アクセルもブレーキも無いのに自分の思う通りに進むセグウェイは、乗った人の重心の傾きを検知する特殊なセンサーが内蔵されていて、重心が傾いた方向に動く

■バランスをとるってどういう事?

バランスの基本は重心と支点の位置を常に垂直線上に乗せて行く事でとれる。

例えば、中心部分に重心のある細長い風船を手のひらの上に立てると、手のひらに接する部分が支点となり重心はその真上に来る。 風船が傾くと重心がずれるが、手のひらを動かして重心の下へ支点を持っていくとバランスがとれる。

また竹馬の場合は、体重がかかって倒れかけている方向に足の支点を持っていく。それを続けることで事で、重心と支点が垂直になり、バランスがとれる。

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【問題】

バラバラに動く、2本の棒を取り付けた手袋で同時にバランスをとれる?

手のひらの上で1本のバランスを取るには、風船の時と同じように棒が倒れようとしている方向に支点を持っていけばバランスがとれる。しかし、この方法では一方の棒のバランスをとっている間に、もう一本が倒れてしまい同時に2本を立てることはできない・・・

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では違う方法でチャレンジ!


〈正解〉

支点である手を左右に動かすのではなく、位置を変えずに激しく上下に動かしてみると・・・

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見事2本同時にバランスを取ることが出来た!


【解説】

これは支点である手のひらを勢いよく引き下げることで、傾いた棒が2本同時に引き戻され、重心が支点の上に戻るためで、この繰り返しでバランスを取り続けることが出来る。(この方法で、もっと高速運動が出来れば、理論的にはヒモや鎖のようにいくつもの節に分かれたものでもまっすぐ立てることが出来る!)

■家庭にあるもので簡単に出来るバランスマジック

(用意する物)
  • 10円玉 1枚
  • フォーク 2本
  • コップ 1杯
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(実験)

フォーク2本と10円玉を組み合わせた物をコップのふちに10円玉だけ接するように乗せる

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《解説》

フォークと10円玉でバランスを取るにはやじろべえと同じように、支点の真下に重心が来るように組み合わせればよい。

写真では一見、支点であるコップのふちより外側に重心があるように見えるが、腕であるフォークの柄がコップの側に大きく張り出している事で、実際の重心はほぼ支点と同じ位置になっている。

このため、一見不安定に見えてもうまくバランスが取れている。

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大きく広げた羽と胴体で出来たバランストンボを使って棒の先に口先を乗せると・・・

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見事にバランスが取れた

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《解説》

これも一見重心が胴体の真ん中にあるように見えてバランスが取れないように思えるが・・・
1・羽が斜め前にのびている事で、重心が頭(支点)の位置に移動しており
2・その羽が下向きに大きくたれる事でさらに重心が支点より低い位置にくるようになっている
つまり、3方向に伸びたやじろべえと同じになっておりバランスが取れている。

■人間はどうやってバランスをとっている?

人間はバランスをとろうとする時に(1)目からの情報、(2)筋肉・皮膚や関節からの情報、(3)耳からの情報が働く、その中でも耳からの情報は一番大切で、耳の奥の内耳という部分に平衡感覚を担う三半規管がある。それが体の動きを敏感にキャッチしてその情報を脳に伝えている

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上の図は三半規管を分かりやすくした模型。三半規管の中はリンパ液で満たされている。三半規管は、上下・左右・水平の3つの方向をリンパ液の流れで感知している。リンパ液の流れに変化が生じると三半規管が敏感にキャッチして、情報を脳に送る。

【実験】

椅子に人を座らせ、思いっきり回した後、目の様子を見るとしばらく左右に振れて、めまいを起こしている。

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このめまいをとめるにはどうすればよい?

同じように椅子を回転させ、逆の方向に回転させると・・・

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(結果)

眼球の動きが止まった

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《解説》

めまいを起こしたときに起きる特有の眼球の動きを「眼振」と呼ぶ、これは体の動きをキャッチする三半規管が、回転が止まった後も、まだ体が回転していると錯覚を起こしているために生じる現象。

例えば三半規管をコップ、リンパ液を青い液体に見立てて、
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コップを持った状態で回転すると、動きを止めても青い液体は回転していた方向にしばらく回り続ける。

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このように体の動きも回転)が止まっても三半規管内のリンパ液はしばらくの間、慣性で動き続ける。

体を逆方向に回すことで、このリンパ液の回転にブレーキがかかり、眼振も止まったのである。

■寝耳に水ってを実際にやってみよう!

「寝耳に水」とは、だしぬけに起こった出来事に驚く事の例え。
では実際に寝耳に水を入れてみるといったいどうなるの?

実際にやってみると・・・

眼振が起こりめまいをおこしていた!

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《解説》

耳に入れた水と、リンパ液との温度差でリンパ液に対流が起こり体を回転させた時と同じようにめまいが起こる。

※医師の立ち会いのもと行った特別実験ですので絶対にマネしないで下さい。


★番組からのお願い★

「ラブラボ!」は大人から子供までを対象に、教科書等の理論だけでなく、実験を通して楽しく遊びながら、実際に体験し・手先を動かし・自分で工夫をこらす事によって科学を理解し、興味を持つきっかけとなれるような番組を目指しています。

その為、当HPでも皆さんの参考にしていただけるよう、番組で紹介した初歩的な科学実験の一部を掲載していますが、実験によってはカッターやハサミ等の刃物や小さな部品、工具等を使ったり、火気やドライアイス、家庭用洗剤等の薬品を使うモノもありますので、ご家庭で行う場合には各自の責任において十分にご注意下さい。

また実験や工作に小さなケガは付き物ですが(紙一枚でも手が切れたりします)、正しい手順と(器具の)正しい使用で危険は大きく減らせます。特にお子様が実験をする場合には、必ず大人の監督・指導の下、行って下さい。番組の趣旨をご理解の上、以上宜しくお願いします。