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Interview

周年企画第3弾!和牛の新時代が始まる!「名牛会」が生み出すムーブメントとは?

中京テレビ開局55周年企画の第3弾として誕生したイベント『名牛会~極上和牛グルメの祭典~』。和牛界のレジェンドとも呼べる全国の名店が集結し、究極の和牛料理を楽しめる夢のイベントだ。2025年2月22日・23日の2日間、久屋大通公園エディオン久屋広場で開催される。

さらに、2月9日の「肉の日」には、先行番組として『29の日 THE 牛のレッドカーペット~極上和牛グルメの世界~』を放映。本当に美味しいものを口にしたとき、人は言葉を失う。食のスペシャリストたちが「最高峰の和牛」と向き合い、その魅力を余すことなく伝える特別企画だ。

単なるグルメイベントにとどまらない「名牛会」。その背景にある想い、こだわり、そして今後の展望について深掘りする。

営業局 営業推進部 企画リーダー 神農貴洋
スポーツ情報局 情報番組グループ 特番番組チーフプロデューサー 林弘幸
BP局 イベント・スポーツ事業グループ イベント担当 石田康秀
東京営業局 東京営業部 セールス担当 森敬史

和牛を支えるすべての人に光を当て、イベントを超えたプラットフォームへ

「WAGYU」という言葉が世界で通用する時代となった。しかし、その価値は単に「高級食材」としてだけ認識されてはいないだろうか? 和牛の真の魅力を発信し、新たなムーブメントを生み出すことを目指して動き出したのが「名牛会」プロジェクトだ。

神農

きっかけは、海外で和牛を育てるビジネスをしているクライアントから「今、和牛産業が面白いよ」という話を伺ったことでした。そこで、和牛の価値を発信し、食文化の新しいムーブメントを作ることができるのではないかと考えたことが、55周年企画の種となりました。「牛に関わるすべての人達にリスペクトを」という理念のもと、和牛業界をつなぐビジネスモデルのフラッグシップとしてスタートしたのがこの企画です。

石田

和牛は高級食材ですが、それを支える生産者、卸売業者、流通業者、小売業者、料理人などのこだわりが十分に伝わっていません。このイベントを通じて、その価値を広く知ってもらいたいです。

神農

久屋大通公園では45周年企画から始まったイベント『名古屋ラーメンまつり』を2/16まで開催しています。ラーメンまつりの厨房会場を活用することで合理的に実施できるため、まずはトライアルとして2/22、23に決めました。先行して2月9日の「肉の日」で特番を放送し、イベントに繋げる仕掛けです。

石田

「寒い季節に屋外で高級肉を提供するのはどうなのか」という意見もありましたが、「名牛会」はブランド確立のための第一歩です。『名古屋ラーメンまつり』も、当初は冬の屋外フードイベントに疑問の声がありましたが、開催後は「寒い冬だからこそ、外で食べるラーメンが美味しい」と評価が変わり、ムーブメントとして定着しました。また、誰でも参加できるオープンイベントは、多くの人にリーチできるのが大きなメリットです。特定の層だけを狙うのでは単なるビジネスです。ムーブメントを生み出すには、間口を広げて多くの人に体験してもらうことが重要です。今回もあえてその常識を逆転させることで、新たな価値を生み出す挑戦となりました。

「一度は食べたい!」を叶える、新しい食体験の仕掛けとは?

名牛会の記念すべき第一弾イベント『名牛会~極上和牛グルメの祭典~』では、日本を代表する名店が全国から集結。冬の屋外開催、価格帯の設定など、一般的なグルメイベントとは異なる挑戦がそこにはあった。その狙いとは?

神農

出店店舗の選定にあたっては、和牛業界に精通している小池克臣さんにアドバイザーとして協力を依頼しました。東京に偏りすぎず、地元・名古屋の店舗も含むよう、和牛好きなら誰もが知る名店を全国からリストアップしました。海外進出済みの店舗や、今後展開を予定している店舗も多いです。「牛に関わるすべての人達にリスペクトを」というコンセプトに共感いただき、どこも前向きで協力的でした。

番組の枠のセールスも順調に進み、営業的な手応えも十分感じています。冬季の屋外開催という点は、一つの大きな課題でもありましたが、出展店舗と同じように、スポンサー企業からも「牛に関わるすべての人達にリスペクトを」というコンセプトへの共感を得られたことが、セールスを後押ししてくれました。

神農

一般的なグルメイベントは1,000円前後のメニューが主流ですが、今回の名牛会では1人2,000円前後と高めの設定です。これは一般的なグルメイベントと比べると確かに高額ですが、出展する店舗の通常価格を考えると破格といえます。というのも、これらの店舗では、コース料理や飲み物を含めると、3万円を超えることも珍しくありません。
富裕層向けではなく、「高級店には行けないけど興味はある」層にも届くよう工夫し、気軽に名店の味を楽しめる場を目指しました。

石田

屋外イベントにおいて高価格帯のメニューを提供する難しさについて、店舗の皆さまにもご理解をいただきました。そこで、中京テレビが周年イベントに合わせてコストを調整し、特別価格での提供を実現しました。

神農

来年以降、百貨店の催事場やホテルの大広間での開催という構想もありますが、今年は「冬の屋外開催」という条件を考慮し、店舗と協力してメニュー価格の最適化を図りました。

石田

2月9日の「肉の日」の後に開催する屋外イベントが、新たな文化として根付く可能性はあります。ただ、僕ら全員の共通認識として、これが最終的な正解だとは考えていません。今後のイベントでは春や夏などの屋外イベントに適した時期での開催や、より高付加価値のあるイベント展開など、さらなる可能性を模索していきます。

言葉はいらない——グルメ番組の常識を覆す映像表現

2月9日の「肉の日」に先行放映された特別番組『29の日 THE 牛のレッドカーペット~極上和牛グルメの世界~』。従来のグルメ番組とは一線を画す新しいアプローチで、和牛の魅力を視聴者に届けた。その演出に込められたこだわりを、チーフプロデューサーの林さんに訊ねた。

単なるグルメ番組やイベントの告知番組ではなく「和牛のアムール・デュ・ショコラ」となるような番組を目指しました。生産者、シェフ、店主のストーリーを丁寧に描き、高級食材としてではなく、背景にあるこだわりを伝える構成です。さらに、こだわりを持つ人と人との出会いをより印象的に描くため、店舗の前にレッドカーペットを敷き、正装したタレントが店主と一対一で対面しながら食べるというエンターテインメント要素を取り入れています。

食レポといえば、「うまい!」「ジューシー!」「とろける!」といったコメントが飛び交うのが定番だ。本番組は、その定番と真逆のアプローチを試みた。

一般的なグルメ番組では、タレントが料理を口にした直後にコメントを求められます。視聴者に伝えるためには必要なことですが、本当に味わえているのか——そんな疑問を持っていました。本当に美味しいものを食べたとき、人は思わず言葉を失うことがあるのではないか、と。
そこで今回は、出演者さんに『食べた後の感想は不要、コメントは使いません』と伝え、あえて言葉を排除しました。その代わりに、表情や口元、食べる姿にフォーカスし、言葉に頼らず美味しさを伝える演出を採用しました。無言で味わうことこそが、料理の魅力を伝える最も説得力のある表現になると考えたのです。
僕の大好きな歌『SAY YES』の一節にもあります。『言葉は心を越えないとても伝えたがるけど心に勝てない』——まさにそれを映像で表現したかったのです。

この新しいアプローチを成功へと導いたのが、個性豊かなキャスト陣だ。彼らの存在が、番組にさらなる説得力を与えた。

競技の世界で感覚を研ぎ澄ませてきた阿部一二三さんや武士道を体現する藤岡弘さんなどは、その表情や身体表現が個性的で映像としてのインパクトがすごく強かったです。声優の木村昴さんが、商売道具の声を封印して美味しさを伝えているのも印象的でした。MCの王林さん、伊集院光さん、村上信五さんはVTRのゲストの感情をうまく拾い上げてコメントできる方々で、無言のシーンにさらに説得力を加える演出となりました。キャスティングもうまくハマりました。

これまで中京テレビが得意としてきた「ボリューム感」「リーズナブルな価格」「活気」といったグルメの表現とは違う、新たなスタイルの番組となった。

これまでと同じことをやっても意味がない。どうせなら、 失敗を恐れず新しいことに挑戦しよう——そんなチャレンジ精神が、今の中京テレビにはあります。部署の垣根を超えて、皆が同じ方向を向く。こうした空気感の中で生まれた「名牛会」が、どんな反応を生むのか楽しみです。

ここからが本番!広がるビジネスの可能性

「名牛会」は、国内だけでなく海外市場も視野に入れ、さらに大きな展開を見据えている。
ここから先、どのような未来が描かれていくのか。

このような高価格帯のイベントはテレビ局やイベント業界でも初の試みです。「名牛会」が成功すれば、北海道、大阪、福岡などへの全国展開、さらにはアジア圏での開催も視野に入れたいです。また、スポンサーとして、和牛に合わせる食材や調味料といった横展開も考えられます。

石田

「名牛会」というブランドが育ち、和牛のイベントとして確立されれば、取引先とのコラボレーションや商業施設での展開、ロゴや食材を使った商品の開発・販売、別の形でのイベント開催など、さまざまな展開を実現していきたいと考えています。

神農

その通りですね。我々も将来的には、クローズドな限定イベントや、インバウンドに特化した企画も視野に入れています。「名牛会」はそのための重要なスタートラインだと考えています。

石田

そういった新しい展開を考える上で大切なのは、自社発の企画だということです。従来のイベント運営で培ったノウハウを活かしながら、「名牛会」のような自社発の企画では「商流の川上に立つ」ことができます。このように自ら立ち上げたイベントを広げていくことで、テレビ局の新しいビジネスモデルへの挑戦をしていきたい。

和牛の真価を伝え、新たな食文化を築くことを目指す「名牛会」。イベント当日、多くの人がこの試みにどう反応し、どんな価値を見出すのか。その先に広がる未来にも期待が高まる。

垣根を超えて、価値を創る――中京テレビで働く醍醐味

テレビを取り巻く環境が大きく変わるなか、中京テレビは「放送局」の枠を超えた新たな挑戦を続けている。従来の「番組を作り、放送する」という一方通行のメディアから、視聴者とともに価値を生み出し、広げていく存在へ。イベント、デジタル、IP展開など、多角的なアプローチを積極的に取り入れながら、放送の未来を切り開こうとしている。「名牛会」もまた、その挑戦のひとつだ。変革の最前線に立つメンバーに、これからのテレビの可能性について訊ねた。

神農

今、テレビ局には、単なるコンテンツ制作を超えた視点が求められています。番組を作るだけではなく、IPをどう最大化し、ビジネスとして展開していくか。社内でも「商社になるな、メーカーになれ」という意識が広がっています。価値を生み出し、それを戦略的に育て、展開していく——テレビ局の役割も進化していると感じます。

特に東京のような情報の流れが速い環境では、従来の枠にとらわれない発想が欠かせません。ローカル局としても、能動的に動かなければ中京テレビのファンを獲得するのは難しい。放送だけに頼るのではなく、イベントとの連携や中継の活用、さらにはハイブリッドな提案が求められる時代です。待ちの姿勢ではなく、自ら考え、広げていくことが、これからのテレビ局には不可欠になっています。

石田

今回のプロジェクトで、部署の垣根を超えて新しいものを生み出す大切さを改めて実感しました。これが一過性のものではなく、日常的な価値観として根付けば、やるべき仕事と、やりたい仕事のすみ分けができ、より良い形が生まれていくはず。役職や部署に縛られず、挑戦できる文化が広がる未来を確信しています。

現場で番組を作っているスタッフを見ていると、テレビが好きで、世の中に何かを発信したいという熱い想いを持っていることが伝わってきます。面白いことをしたい、笑いを届けたい、感動を生み出したい——そうした強い気持ちがある人に、中京テレビはいろんな挑戦をさせてくれます。

放送だけでなく、イベントやIP展開など、さまざまな手法を取り入れながら進化し続ける中京テレビ。テレビが持つコンテンツの力を最大限に生かし、価値を育て、広げていく――そんな次世代の形を、中京テレビは示そうとしている。

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