■ピアノの音が出る仕組み
ピアノは鍵盤(けんばん)を押すと、中のハンマーがてこの原理で動き、弦(げん)をたたくことで音が出る「弦楽器」。
弦楽器にはギターやバイオリンなどがあり、ピアノはその仲間になる。
さらに、弦から出た音の振動(しんどう)を、響板(きょうばん)と呼ばれる部分が大きくして空気に伝え、大きな音となって外に伝わる。




■ピアノに触れずに音が出る?
<実験1>
ピアノに張ってある88本の弦(鍵盤の数も88個)の内、1本にクリップをかける。
そして、ピアノの響板にスピーカーをセットし、シンセサイザーを使って音を出した時、音が響板に届くようにする。



この状態でシンセサイザーの音を出してみると…
<実験結果>
クリップは何も反応しない・・・

<実験1>
違う音を出してみると・・・
<実験結果>
クリップがふるえた!

【解説】
一方のシンセサイザーの音にクリップが反応しなかったのは、シンセサイザーの音とクリップをかけたピアノの弦の音が同じ高さの音ではなかったため。
もう一方のシンセサイザーの音にクリップが反応したのは、シンセサイザーの音とクリップをかけたピアノの弦の音が同じ高さの音だったため。
これは「共振(きょうしん)・共鳴(きょうめい)」と呼ばれる外からの振動を受けて物体が振動する現象。
つまり、外から伝わった音と同じ音の高さのものであれば共振・共鳴が起こる。


■ピアノが出来るまで 1 〜ピアノの弦の秘密〜
1・ピアノの胴体部分に使われているのは木材、そして、響板部分には「スプルース」という松の木が使われている。 この「スプルース」はとても軽い種類の木材で、響板に使うことで、低い音から高い音まで幅広くきれいな音を出すことが出来る。


2・胴体部分に金属のフレームを取り付ける。

3・胴体部分に取り付けたフレームに弦を張る。

ちなみに、この弦にはすごいパワーが秘められていた!
そこで、こんな実験!!
<実験方法>
2台の車をピアノの弦でつなぎ、一方の車を動かして、もう一方の車(約2トン)を引っ張ると・・・

<実験結果>
弦が切れることなく、車が引っ張られた!

ちなみに、ピアノの弦と同じ太さの針金で同じ様に引っ張ってみると・・・

切れてしまった・・・


【解説】
ピアノの弦が丈夫なのは、ピアノに弦を張る時に約80kmもの力をかけられているため。
これだけの力を加えられてピアノに弦を張られるのは、ピアノの音の高さが弦を張る強さによって変わるため。
ピアノは弦を強く張ると高い音が出て、逆に弱く張ると低い音が出る。
さらに、ピアノは弦の太さを変えることでも音の高さを変えることが出来る。
細い弦は軽いため、たたかれた時に激しくゆれ、高い音が出る。
逆に太い弦は重いため、たたかれた時にゆれ方がにぶくなり音は低くなる。
つまり、ピアノの弦のゆれる回数によって音の高さが変わる。
ちなみに、太いピアノの弦は一本の細い弦に銅線を巻き付けることで重さを増している。
この弦を「巻線」と呼ぶ。



■ピアノが出来るまで 2 〜ピアノの完成〜
4・組み立てられた鍵盤とハンマーをピアノ本体にセットする。

5・セットされたピアノの鍵盤を、試弾機(しだんき)と呼ばれる機械で激しく打ち続ける。 この作業によって鍵盤とハンマー、そして弦をなじませることが出来る。

6・試弾機に打ち続けられたものに、ピアノのフタにあたる天板(てんばん)を取り付ける。

7・最後に調律士(ちょうりつし)と呼ばれる人が、ピアノが正しい音を出せるように調整する。 この作業は調律士の耳だけをたよりに行われる。

こうして調整されて、ピアノの完成!

■ピアニストおどろきの秘技
<実験内容>
ピアニストの方にピアノを弾きながら習字を書いてもらうと・・・

<実験結果>
簡単に書けた!

ちなみに、でんじろう先生とスピードワゴンの2人が挑戦してもまったく書けなかった!
【解説】
ピアニストは曲をひく時、右手と左手の指は、まったくちがう動きをしている。
ピアニストはこうした訓練を練習の過程で行ってきているため、両手でちがう動きを同時に行える。
★番組からのお願い★
「ラブラボ!」は大人から子供までを対象に、教科書等の理論だけでなく、実験を通して楽しく遊びながら、実際に体験し・手先を動かし・自分で工夫をこらす事によって科学を理解し、興味を持つきっかけとなれるような番組を目指しています。
その為、当HPでも皆さんの参考にしていただけるよう、番組で紹介した初歩的な科学実験の一部を掲載していますが、実験によってはカッターやハサミ等の刃物や小さな部品、工具等を使ったり、火気やドライアイス、家庭用洗剤等の薬品を使うモノもありますので、ご家庭で行う場合には各自の責任において十分にご注意下さい。
また実験や工作に小さなケガは付き物ですが(紙一枚でも手が切れたりします)、正しい手順と(器具の)正しい使用で危険は大きく減らせます。特にお子様が実験をする場合には、必ず大人の監督・指導の下、行って下さい。番組の趣旨をご理解の上、以上宜しくお願いします。