- 「あのね、非常に楽しかったですね!」
- 「ああ、そうですね」
- 「昔を思い出しましたねえ。昔お世話になったスタッフの皆さんがみんないたでしょ。初代プロデューサーの澤田さんがいたり、構成作家の大岩さんがいたりねえ。その人たちに囲まれて思い出しましたよ!」
- 「同窓会でした。収録が始まる前はね」
- 「みんな偉くなっちゃってね、大したもんですね。俺なんか全然地位も何もないから。防衛庁政務官とね、外交防衛委員長しかやってないんですよ。決して威張ってるんですよ(笑)。もう人生ね、恬淡としたもんですよ。もうまもなく死ぬんだからと思ったらね、怖いものないです」
- それは収録中にもおっしゃってましたね。
- 「でも人生をね、これからは楽しもうと思ってね。この前ね、僕ね、横浜の母に手相を見てもらったら……」
- 「あ、そういう人いるんだ。新宿の母みたいな人が」
- 「そしたら、『あなたは大器晩成型です』。もう70のときに。それを聞いて俺驚いたんだけど、『いや、70も80もありません。大器晩成型です。絶対これから総理大臣にでもなれます』って言ったから、俺総理になれるんじゃないかと思ってるんだよね(笑)。だからそれを信じてまだ生きてるのよ」
- 今回は新しいメンバーも加えての新しいマンガ道場でした。
- 「みんな楽しそうで良かった」
- 「俺ね、ダンちゃんが一人いるだけですごい楽だった」
- 「そんな(笑)。柏村さんの隣りに座ってたからね」
- 「戦友みたいなもんじゃない。そんな人がそばにいてね、すごい心強かった。あとプロデューサーの瀬古ちゃんもいたでしょ。瀬古ちゃんがいると、やっぱりこの人もね、昔から知ってるからうれしいよね。これがまるっきり知らない人だと、なんか事務的になっちゃったと思ったけどね」
- 後半、柏村さんはキレッキレでしたもんね。
- 「キレてないよ! もうね俺は認知症が始まってるんだから。こないだメガネが失くしてしまってね、『今日はもうダメだ、老眼鏡がないから会社に行けない』って言ったら、『これなあに?』と頭にかけたメガネを指差されたほどなんだよ」
- 「真面目な話?」
- 「もうダメだと思った俺」
- 回答者のナイツの土屋さんが、「この番組は司会者が一番面白いことを言う番組なんですか?」と言ってましたね。
- 「わははは、それじゃいけないんだよ(笑)。司会者は目立っちゃいけない(笑)」
- 「洋子ちゃん(奥さん)は毎日聞いてるんだからこれを」
- 「ダンちゃんはいるしね、瀬古ちゃんもいるから、やりやすかったんだよ。でもさ、観てる人がわーわー笑ってくれて、また観たいなと思う番組を作ればいいんじゃないですか? いわゆる建前の番組を作るよりも、本音の番組でやったほうがいいと思うからね。さっき初代プロデューサーの澤田さんに『だいぶ練れてきた』と言われて、うれしかったよ。昔は練れてなかったと思うよ(笑)」
- 「45年くらい前の話ですけどね」
- 「じゃあ、俺が32くらいか」
- 「わーわーみんなが楽しそうにやってる雰囲気っていうのは、きっと画面の向こう側にも伝わるんじゃないかと思います。昔のマンガ道場がそうでした」
- 「今日の人選も良かったね」
- 「ああ、そういう意味ではね」
- 「島本和彦先生も面白かったしね。くっきー!さんも土屋さんもそれぞれみんな良さがあったねえ。そして足立梨花ちゃんも最後はこじるりちゃんをいじりまくったから、いいじゃない」
- 足立さんは番組の進行につれ、面白いキャラが出てきましたよね。
- 「そうそうそう、全然違う(笑)」
- 「初対面で会ってみんな探り合いをやったけれども、もう司会者がああなら俺たちもってなことになったんだと思うんだよね」
- 「司会者がああならって(笑)」
- 昭和のマンガ道場と、令和のマンガ道場はやっぱり違いましたか?
- 「違うねえ。ネタが違うからね。全然違うね、ダンちゃんね?」
- 「違う違うまったく違う。別物ですよね」
- 「まずLINEスタンプをお題にするとか昭和になかったからね」
- 「それとやっぱり、こういう番組でも今の世の中を反映しているような言葉が出てきたり、今の言葉が出てくるわけじゃないですか。そうすると回答するものも当時とは違ってくるのはありますね」
- だん吉さんがTシャツのお題で描いた「HEAVEN」Tシャツはとても素敵でした。
- 「あはは(笑)」
- 「あのTシャツに描かれた、鈴木さん、富永さん、川島さんの3人がね、今日の収録を見て『俺たちも下界に降りようよ』って言ってたかもしれないね。鈴木先生のところに富永さんとなお美ちゃんが来て、みんなで飲んでるよ。絶対そうよ」
- 今回の収録は、傍から見ていても本当に昭和と令和のマンガ道場が渾然一体となった感じがしました。
- 「『笑点』があそこまで続いてね、マンガ道場が終わっちゃうのは本当に悔しくてしょうがなかったな(笑)。うちのほうが上だと思ってた。そう思わない? 本当の話」
- 「結局ね、あのまま続けられるかどうかはともかくとして、『笑点』は出演者がコロコロと変わってるわけじゃない。でもマンガ道場は鈴木・富永の2人を外してはできないなと思って、結局あそこで終わった。鈴木さんなんかはあと2年で20年のキリのいいところまでやろうと思ってたみたいだけど、富永さんは新聞の取材か何かで『元気なうちに終わるのも華だよ』とおっしゃってました」
- 「富永さんは、70までやりたかったねとは言ってたけどね」
- 「まあ、糖尿があるから……」
- 本当に絶妙なバランスで成り立っている番組でしたもんね。
- 「家族的な雰囲気だったからね。なお美ちゃんもいて」
- 「柏村さんはいつもそう言ってたね。家族的なものだって」
- 「鈴木・富永は両親で、ダンちゃんが長男で、俺が次男で、長女はなお美ちゃんでってな感じがあってね、それがものすごく良かったですね」
- 「今回はどうでしたか?」
- 「いや今回はね、まあ俺とダンちゃんがこのマンガ道場家を守っててね、あと来た人をさ、大歓待しながら楽しくやってたってな感じがするよ。でも面白かったね、みんなね、それぞれ個性がね。いい人選んだと思うよ……でも、島本先生のこと俺知らなかったんだよね。俺あんまりマンガ好きじゃないから」
- ぶっちゃけましたね。
- 「俺、だって『イガグリくん』と『あんみつ姫』くらいしか見てないもん。あと『赤胴鈴之助』と」
- 「日清戦争の時代の人だから……」
- 「でも鈴木さんが言った言葉を、俺は今でも放送で言うんだけど、『文明が複雑になればなるほど流行るもの、それは4コママンガと自転車だ』と鈴木先生は言ったのよ。これはすごいと思うね。複雑になればなるほど人間は自転車に戻るし、4コママンガってのは時代を切り取ってるから、この4コマですべて時代を表すという意味だよね。鈴木先生はそれを30年か40年前に言ったんだよ。マンガ道場が始まった頃にそう言ってた」
- だん吉さんは往年とまったく変わらず、絵がお上手でしたが、ずっと描かれてたんですか?
- 「頼まれたりすれば描くこともある程度ですよ」
- 「ダンちゃんは酔っ払ったときがうまいんだよ。飲み屋でね、オヤジが描いてくれって言ったときはもう最高にいいの。ズガ―って描いてある。どこの飲み屋だったかな、ダンちゃんの絵がずーっと横に並べてある」
- 「そんな(笑)」
- 「飲むとこの人はね、もう大サービスよ。ダンちゃんは偉ぶらないからね、いつも」
- マンガ道場が終わってからもよく飲みに行かれたんですか?
- 「ダンちゃんとは終わってから全然会ってなかったね」
- 「会うとタレ目が感染るから」
- 「浅井企画が会わせてくれないのよ」
- 「だってこの方、偉い先生になっちゃったからさあ」
- 「そうなんだよね、俺、国会に行っちゃったからね」
- 「門前払い食らっちゃって。『柏村先生に、何? ダメだよ、今先生忙しいから』って(笑)」
- 「だから今日、ダンちゃんと会えるのを楽しみに来ましたよ。全然変わってないもん」
- 「すっと入っていったよね。27年経ってたのにね」
- 「27年会ってないのに、すっと入っていった。司会をしていてもね、やっぱ思い出すんだよな、澤田さんの元でやっていたあの頃をね。そうするとそんな負担でもなかったね。遊びながらやればいいやって思うぐらい」
- 昔の感覚がすぐに蘇ってくる感じだったんですか?
- 「そうそうそう。僕は今、ラジオで自由自在にしゃべってますからね。2時間ぐらいね。それは本音でしゃべってるから、ここまでは言っていい、これ以上は言っちゃいけないってことをしょっちゅう考えながらしゃべってるからね。当たり前のことをね、しゃべってるとまったく面白くないの。やっぱギリギリのところをしゃべらないと面白くない。マンガもそうよね。底辺のところをやってると面白くないから、みんな見てても笑わないよね。だけどこれはよく描くなあってのは、みんな笑うよね」
- 番組ってやっぱり生モノなんですね。
- 「だから僕の番組は広島FMではナンバーワンなんですよ。それはなぜかって言うと、面白いから。それだけですよ。放送を聴いて勉強しようやって人はいないからね。やっぱりこの放送を聴いて楽しくなろう、明るくなろう、元気をもらおうぐらいでしょう。そしたら面白いことを言わなきゃダメでしょう。そのために僕は勉強をしないといけないから、新聞全紙とってますよ。それで前の日に全部読んで、大事な記事は切り抜いてね、それをまた自分で優しく、どういうふうに言えばいいかってのを考えながらね、それを全部やっていくわけですよ」
- 「偉いねえ」
- 「でもそれをやらないとね、お金もらえないじゃんやっぱり」
- 「大器晩成だあ……」
- 「総理になったら、マンガ補佐官にするから」
- 「偉いねえ。うち1紙しかとってないもん」
- 「1紙でもとってるからいいじゃない。うちの娘は何もとらないから怒ったよ。そしたら『スマホ見ればわかるじゃない』って。これなんだよね。でもどうして俺は怒ったのかというと、スマホじゃね、このニュースの重みがわからないでしょう。これは4段抜き、これは3行記事、スマホだとそれらがすべて同じ扱いになる。社会面の1面にあるやつと、表の1面にあるやつ、それは全然違うんだよってね。でもそれを言っても、娘は全然新聞をとらないね」
- 「そうですよね」
- では、27年ぶりに再会されて、お互いにかけた第一声は何でしたか?
- 「『いやあ、元気? 変わんないね』だね」
- 「そうそう、『変わんないね』だったね」
- 「だって昨日も会ったみたいな感じだった。昨日会ってまた今日も会ったみたいな感じだったね。ダンちゃんとは27年の年月は感じなかったね」
- 「ブランクはなかった。そうね、それは確かね」
- では、その勢いで次は令和のマンガ道場第2期を?
- 「そうですねえ。まあダンちゃんが生きてればの話だけど(笑)。俺もだよ(笑)。頑張ろうよ」
- 本当に最後の最後までキレッキレですね
- 「とんでもないです。だからこの番組を観てくれた人がね、面白くてまた観たいと思ってもらわなきゃダメなんだ、絶対に。そこなんですよ。だから俺は必死になったよ。瀬古ちゃんもみんなそう。みんなそういう気持ちだと思う。そのためには平凡な番組にしちゃダメなんだよね。やっぱり『あれ観てごらん? 車だん吉も出ているよ』、これがいいんですよ」
- 「……『まだ出てんの?』って」
- 「(笑)。ダンちゃんね、髪は少なくなったけど、全然昔と変わらないよ。センスも変わらないしね。絵も昔からうまいんだもん。マンガ家よりもうまい。漫画家協会の会費を払うのが嫌で、漫画家協会を辞める男ですから」
- 「だってさ、年会費2万円でこんな会報しか来ないんだよ」
- 「俺はね、10個ゴルフの会員権持ってて、2つにしたのよ。8個はやめたよ。そりゃ毎年の会費がすごいんだ。30万から40万にもなる。そんなのやめようってなって、行くところだけ2つ残してあとは全部売った。そんなもんですね。意味があれば残ってもいいよな。漫画家協会に入ってるとさ、連載がいっぱい来て大儲けになるならいいよな」
- 本当にどうもありがとうございました。ネットでも人気になると思いますよ。
- 「ネットで人気になればいいねえ。そしたら皆さんの努力が報われて、もう一回やりましょうってなればいいね」
- 「あれだけのセットを作っていただいてねえ」