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火事で麴室が全焼した老舗酒蔵 手を差し伸べたのはライバルの“同業者” 復活までの道のり 愛知・常滑市

報道局
特集 愛知 2021/01/29 13:00

愛知県常滑市で170年以上続く老舗の酒蔵「澤田酒造」。地元のわき水で日本酒を造っていますが、去年11月、酒造りの心臓「麹室(こうじむろ)」を火事で焼失してしまいました。酒造りは「もう終わった…」と絶望するなか、救いの手を差し伸べてくれたのは、ライバルであるはずの同業者でした。


常滑市で173年続く澤田酒造。地元のわき水を使い、伝統の製法で日本酒「白老」を造っています。取材に訪れると、春に出荷するための酒の仕込み作業が行われていました。

「こうしてまた、当たり前の光景ができるようになったことを、非常にありがたく感謝しています。改めて、この酒蔵で酒造りができることが、いかに大切なことだったのか」(澤田酒造6代目 澤田薫 社長)

実は澤田社長、今年は酒造りが始められることに、特別な思いがありました。


去年11月、酒造りにかかせない麹を造るための「麴室(こうじむろ)」が全焼。澤田酒造の長い歴史の中で初めて起きた火事でした。そのため、この冬、看板商品の「白老」を仕込むことができなくなっていたのです。

麹を発酵させるため室内を温める電熱線がショートして出火。タンクに貯めた原酒や、これから使う原料米、瓶詰めラインなどは無事だったものの、とても酒を生産できる状況ではありませんでした。

日本酒は麹菌がうまみやコク・香りを作ることから、麹室はまさに“酒造りの心臓”ともいえる場所です。

「もうサーっと血の気が引きまして、これはもう終わったなというふうに思いました」(澤田社長)


いったいどうすれば良いのか…失意の中、思わぬところから支援の申し出がありました。同業のライバルである愛知・三重の酒蔵4社が支援を申し出たのです。

その一つが、愛西市にある山忠本家酒造。麹を造る支援をかって出ました。

「自分の蔵で、もし同じことが起こったらって想像すると、もう、絶望しかない。とりあえず、次の日に迷惑承知で伺わせていただいて。友達が困っていたら『何かできることはありませんか?』っていうかたちですね」(山忠本家酒造 十一代目 山田昌弘 社長)


早速、澤田酒造の杜氏を務める三浦努さんが麹造りのため、山忠本家酒造を訪ねました。

麹造りで酒のうまみが決まるため、ライバルである別の酒蔵で麹を造ってもらうのは、異例のこと。

酒蔵により、使用する器具も違えば、米も違います。

山田社長は、いつもと違う方法や澤田酒造が持ち込んだ米に興味津々。

「硬い…、硬いよな。全然違う…」(山田社長)

「うちは、もうちょっと小さい小箱(麹室)で作っていましたので、だから、どういった麹になるかっていうのは、まだちょっと分からない。(完成が)楽しみでもあり、不安でもありますね」(澤田酒造 杜氏 三浦努さん)

麹菌を米に振りかけ、布に包み込んだら、この日の作業は完了です。


そして年が明け、いよいよ完成した麹を受け取る日がやってきました。ライバル社の麹室で造られた麹の出来は…。

「しっかり(麹菌が)回っていて、いいと思う」(三浦さん)

受け取った麹で、一升瓶約2000本の日本酒ができるといいます。

「面白かったというと語弊があるかもしれないですけど、触ったことのない米を触る機会というのは、すごく貴重な経験。うちにとってプラスの経験をさせていただく機会でもあった」(山田社長)


すべてを失ったと思われた火事。しかし、得たものも大きかったと澤田社長は話します。

「失ったものは多かったんですけど、本当に学んだこと、得たものは計り知れないほど大きくて、この出来事を糧にして、また新しい時代に向けて前進していく。そういった覚悟でおります」(澤田社長)
 

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