紅葉の名所で“モミジが寿命”の危機 地元住民が苗木を育て維持狙う 愛知・豊田市
愛知県の紅葉の名所、香嵐渓(こうらんけい/豊田市)。
紅葉シーズンを迎える中、地元では「紅葉が見られなくなる」と危機感が高まっています。
豊田市の足助地区。モミジの木が茂る一帯が「香嵐渓」と名付けられてから、90年を迎えます。歴史ある名所を襲う“危機感”について、観光協会の会長は――
「モミジの木は(寿命が)100年位と言われていますので、寿命が来ていますね。寿命が来ると色が悪くなって、葉っぱに勢いがなくなります」(豊田市足助観光協会 田口敏男 会長)
長い間、観光客を楽しませてきた約4000本ものモミジの木々に、寿命が近づいているというのです。
「20年物の木を植え替えると、1本60万円ぐらいかかります。景観を損なわないように植え替えると、おそらく数億円かかる」(豊田市足助観光協会 田口敏男 会長)
紅葉するほど大きく育ったモミジの木を購入するには、1本あたり約60万円が必要です。さらに新型コロナの影響でイベント収入は減少し、植え替え続けるのはとても難しいといいます。
そこで観光協会では、観光客に参加してもらう募金制度に加え、地元住民が香嵐渓のモミジを育てる取り組みを始めました。
この取り組みでは、募金をしてくれた先着50人の地元住民に「香嵐渓のモミジ」を10年間育ててもらうのです。
取材に訪れた日、小さなモミジの木を受け取ったのは香嵐渓のすぐ近くに住む太田菜々恵ちゃん(12)・百恵ちゃん(9)姉妹。
授業でモミジの寿命について学び、学校で育てる体験をしたことで関心を持ったといいます。
菜々恵ちゃんは東京オリンピックの聖火ランナーにもなり、走ることで香嵐渓の現状を知って欲しいと話します。
お父さんがスペースを空けてくれた家の畑に、香嵐渓のモミジを植えました。
「これからしっかり育ってほしいという思いで植えました」(菜々恵ちゃん)
「(香嵐渓は)有名な場所だから 大切にしたいと思う」(百恵ちゃん)
地元の大切な場所のモミジ。10年後には木に名前をつけ、100周年を迎える香嵐渓に植えに行くということです。