• index
  • program
  • Locipo
  • news_weather
  • announcer
  • event
  • chukyokun
  • present
  • TVschedule

中京テレビNEWS

こちらでもニュース配信中!
YouTubeでは過去に放送した特集・ドキュメンタリーも!

お父ちゃんはコロナ搬送ドライバー コロナ時代を支える人とその家族の物語

報道局

父はコロナ感染者を搬送するドライバー。感染への恐怖、それが現実になった時、7歳の息子は静かに涙しました。

新型コロナの感染者を搬送するようになって1年4か月。感染者数が下げ止まっているこの春、仕事はどうなるのか。コロナの時代を支える人と、その家族の物語です。

 

愛知県に住む、迫田塁さん(44)。

7歳の善くんと2歳の穏ちゃん、そして妻の麗さんとの4人家族です。

職業は、寝たきりなどで介助が必要な人の移動に使われる介護タクシーのドライバー。

しかし、耳に付けたイヤホンに、いま、かかってくる電話は、新型コロナ感染者の搬送依頼。名古屋市から迫田さんが所属する介護タクシーの団体が委託を受けています。

 

この日、乗せることとなったのは80代の男性。慣れた手つきで車椅子を操作すると、送り出す家族に一礼。

運転席に乗り込む前に、感染者に触れた可能性があるものは、全て処分します。

■迫田塁さん 
「(今は)やっぱり、軽症が多いかなっていう感じですよね。本当に一番初めの頃は得体の知れないものだったし、酸素レベルが下がっている人がすごく前は多かった。あとストレッチャー搬送も多かった」

 

記者:「やりがいを感じる場面はどういうとき?」

■迫田さん 
「「ありがとうね」って言ってくれるときですかね。その時に必要とされているなってふうにちょっと思えるのでね」

元々の介護タクシーとしての顧客は、別の業者に引き継ぎ。今は、感染者の搬送専属です。

 

最初に取材したのは、業務を始めたばかりの去年1月のことでした。

■迫田さん(去年1月取材)
「「るいちゃん、名古屋市からコロナ感染者の搬送の依頼入ってきたけど、やるか」救急車でコロナの搬送をしちゃってるから、本当に必要な人が(救急車で)行けない。だから僕たちが用意されたと思ってる」

25歳のとき、事故に遭い、周りの助けのありがたさを知ったという迫田さん。

“今度は誰かの助けになりたい”。しかし、その決断ゆえに、家族は離ればなれになることとなりました。

■迫田さん(去年1月取材)
「“やるなら家を出るのが条件”と嫁さんに言われて。(家族に)移さないのが一番の理由ですけど。息子が(周囲から)「パパ、コロナの搬送やっとるもんで、こいつバイキンだで」と言われたりすると かわいそうだから」

子どものことを考えての判断。

 

その後、保健所からは「感染対策を徹底しているので、自宅から通勤しても問題ない」と言われましたが、別々での暮らしを続けてきました。

迫田さん(去年1月取材):「父ちゃんの顔忘れたらいかんぞ」
善くん:「お父ちゃん、コロナにかからないでね。しごとがんばってね」

善くんと穏ちゃんからは、けなげなメッセージ。

 

しかし、去年4月。コロナ搬送を始めて5か月後、迫田さんがコロナ陽性に。

『麗、善、穏ちゃん。父ちゃん、兄ちゃん。みんな協力してコロナの搬送やらせてくれてありがとう』

コロナ病床で命の危険を感じ、家族に向けて、急きょ残したビデオメッセージ。

『ちょっと危ないところまで来てしまいました。“重症”です。肺の状態が戻らんみたいだから、きょうの3時ぐらいから挿管します。多分戻ってこられると思うけど、100%じゃないから。正直、善と穏ちゃんに会えんのがつらいです。寂しいです。お父ちゃん頑張るで、ほいじゃあね。生きて会いましょう、ばいばい』

 

妻の麗さんは、子ども達にはお父ちゃんの感染を知らせませんでした。状況を悟られないよう、とにかく楽しい時間を心がけたと言います。

■妻の麗さん
「善は すごい心配性というか、不安になるからと思って。病院から症状の連絡があるんですけど、毎日「良い報告ができなくてすいません」と病院の先生が言う感じで、心配だけど、でも、子どもたちのことをやることやらなきゃいけない。善が (状況を)知っていると思うと泣けてくるけど、知らないと思うから泣いちゃダメと切り替えて」

その後、なんとか症状が落ち着き、迫田さんは1か月で退院。

 

麗さんは、善くんの様子に、違和感を覚えるようになりました。

■妻の麗さん
「善が言う一言一言とかで、「(感染していたと)気付いてるんだろうな」と、私たちがそうやってうそをついてごまかし続けていると、本人、逆に苦しいのかなと思って」

 

夫婦で相談し、善くんに感染したことを伝えると決めたのは退院の3日後。

迫田さん:「善、善にはちょっと心配かけたくなくて、いじめられるといかんで内緒にしとったんだけど、父ちゃん、コロナにかかっちゃったんだ」
善くん:「なんで?なんで?」
迫田さん:「コロナにかかってて、俺、死にそうになってたんだわ。わかった?でも助かったの。何か知っとった?」
善くん:「ううん、知らんかった」
妻の麗さん:「知らんかったんだ」

 

口を固く結んだ、善くん。その晩、あのビデオメッセージを見せると…、7歳の善くんは静かに涙を流しました。

■迫田さん
「ちょっとお前には受け止めきれんかったかもしれんな」

感染ルートは特定されていませんが、万全の対策をしていたはずの搬送業務の中で、移った可能性も否定できません。

命をかけてコロナの現場に出る人達と、それを送り出している家族…。

 

感染後、休養期間などを挟み、復帰した迫田さん。3月にある会議に参加していました。

■迫田さん
「今まで通り、コロナ班で専属で一日貸し切りでお願いしますって、入札してほしいと思います」

所属する介護タクシー団体の会議。新年度分の入札が近づいていたこの日、議題となったのは、「コロナ専属」を続けるかです。

感染リスクと風評被害への対策として感染者を運ぶ人と車は専属とし、元々の顧客は断ることにしてきたこの団体。

コロナの正体が分かってきた今、十分な消毒などをした後なら、同じ車両で一般の利用者も運べるのではないか。そうすれば、入札でも、有利な金額が示せるのでは、というのですが…。

 

■コロナ搬送専属の事業者
「一般であれば、乗るのは利用者さんじゃないですか。だから、僕らが良くても、利用者さんが遠慮したいと言えば難しい」

■一般搬送のみの事業者
「(団体所属の事業者は) 全部まぜこぜ搬送してるんじゃないかって判断されるかもしれないってことに みんな ビクッてなってる」

気になるのは、一般利用者からの視線。民間であるがゆえの、難しさがありました。

■福祉・介護移送ネットワークACT 鎌倉安男 代表理事
「よそで感染しても、「あのタクシー乗ったから感染した」と必ず言ってくる人がいると思う。そうすると余計、不利になっていきますよね」

結局、専属の体制は維持する方向で、落札を目指すこととなりました。

 

結果が出る朝。迫田さんは、泊まりに来た善くんを、我が家へと送っていきます。

迫田さん:「きょうね、入札って言ってね、4月からが決まるか大事な日なの」
善くん:「ふーん」
迫田さん:応援してくれるかな」
善くん:「うん」

 

結果は、無事、落札。4月から1年分の契約です。
 

■迫田さん
「(搬送に関わる期間は)そりゃ短い方がいいですよ。下の子はどこにも、行ったことないので、さすがにこの一年の途中には(コロナが)終わってくれんと困りますよね。ただ、また知らない名前の次の変異株が来るかもしれないし、それでもやる気なんで、コロナが収束するまではやろうと思ってます」

 

迫田さん、妻の麗さんに報告の電話です。

迫田さん:「入札は取ることができました」
妻の麗さん:「よかったね」
迫田さん:「行かしてくれるかな」
妻の麗さん:「うん」

これからもコロナ搬送ドライバーを続けると聞いた麗さんは迫田さんの思いを理解していました。

■妻の麗さん
「(重症化した後は)さすがにちょっと怖いなってなっただろうと思ってたけど、もう治ったら、「搬送やりたい」っていう感じだったので、とにかく(感染しないよう)気を付けて、無理しないようにという話はしました 」

 

善くんには、お父ちゃんに伝えたいことを聞きました。

「お父ちゃんはつよい、あきらめない人。”コロナにかからないで”の気持ち」

この記事をシェアする

中京テレビNEWSLINEで中京テレビのニュースを読む 友だち追加

最新のニュース

中京テレビNEWS トップへ