コロナに負けず、伝統を引き継ぎたい― 中止となった「秋の高山祭」で特別に 子どもたちによる奉納演奏
今年は新型コロナウイルスの影響で中止となった「秋の高山祭」。
しかし伝統を引き継ぐため、特別に子どもたちによる祭り囃子(ばやし)の奉納演奏は行われました。
毎年、20万人もの人が訪れる岐阜県高山市の「秋の高山祭」。
約300年の歴史のなかでの中止は、天候による中止を除いて、終戦以来75年ぶりだといいます。
しかし、市内の集会場には子どもたちの姿が。
祭りの関係者らが「お囃子の奉納演奏だけでもできないか」と神社に相談し、桜山八幡宮での神事だけは行うことが決まったのです。
子どもたちに15年以上、お囃子を教えている糠塚良一さん(84)。今年、新たに仲間に加わった小学1年生の明松瑚心(かがり・ここ)さんたちに、摺り鉦(すりがね)といわれる楽器を教えていました。
コロナの影響で苦しい状況が続く中、演奏ができることとなった伝統のお囃子。子どもたちは一生懸命に取り組みます。
そして、迎えた本番の日。桜山八幡宮では、子どもたちが伝統の音色を奏でます。
無事に奉納演奏を終えた瑚心さんは「楽しかった」と、ホッとした様子でした。
新型コロナウイルスの影響で異例の事態となってしまった秋の高山祭でしたが、祭りの関係者たちには、ある思いがあるようです。
「ここに生まれ育っている人間性を育てたいというのが私たちの願い。そういうのがきちんとできてうれしかった」(糠塚良一さん)
まちの人々の想いを胸に、コロナに負けず、伝統が受け継がれていきます。