乗客は“1人”でも…貨物需要に希望の光 中部~シンガポール便が8か月ぶり運航再開
2日、中部空港~シンガポール便が8か月ぶりに運航を再開しました。
乗っていた乗客はわずか1人。苦境が続く旅客便ですが、貨物には希望の光が見えたようです。
2日午前9時前、中部国際空港にシンガポール航空の飛行機が到着しました。
新型コロナの影響で運休が続いていた中部~シンガポール便が8か月ぶりに再開したのです。
到着便の乗客は15人ほど。さらに、出発便の乗客はたった1人でした。
「きょうのフライトは私1人なんですって。ちょっとびっくりしました」(シンガポールに赴任するビジネス客)
中部~シンガポール便は週3回の運航予定。現状、シンガポールへ渡航しても、2週間はホテルなどで待機する必要があります。
乗客の回復にはまだ時間がかかりそうですが、それでもシンガポール航空が運航を再開させたのには理由がありました。
「需要が回復していくだろうということを見込みまして、先行投資という意味合いも含めて、今回再開しております。(国際線の)旅客便の運航がシンガポール航空を含めて、ずいぶん減っている状況で、相対的に貨物の需要が高くなっています」(シンガポール航空 安武秀敏 営業部長)
シンガポール航空では、航空貨物の取り込みを狙っているのだといいます。
実際、この日の出発便には過去最多水準という約30トンもの貨物が積み込まれました。
積み込まれたのは自動車部品や電子部品だけでなく、愛知県産の生卵も。
この生卵を輸出している、愛知県岡崎市の鶏卵生産会社では、年間25万個もの卵を輸出してきました。
しかし、新型コロナの影響で国際線の運航が次々となくなり、一時は輸出の中止を検討したといいます。
それでも、なんとか海外のお客さんに卵を届けたいとの思いで、赤字覚悟で関西空港や成田空港から輸出を続けてきました。
「コロナ禍でも事業が継続できる (シンガポールの)客に対する信用が第一」(三栄鶏卵総合企画部 久永時男 課長)
「多少の損失分でも経費をなんとか見直したりして、事業を存続させることを考えています」(三栄鶏卵総合企画部 久永時男 課長)
約8か月ぶりのシンガポール航空の運航再開は、旅客需要だけでなく、地方の輸出企業の経営にも大きく関わっていました。
【中京テレビ 「キャッチ!」 12月2日放送より】