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恩師が語る 立浪和義の原点

低迷が続くドラゴンズにあって、今シーズン波に乗っている男がいる。
立浪和義。
今年でプロ15年目を迎える立浪は、8月11日現在打率.307、野球人生初という4番に座ってからも自分のバッティングを崩すことなく、大役を 果たしている。

さらに目を見張るのが「勝負強さ」。
得点圏打率は.324、打点64は巨人松井に次いで堂々のリーグ2位である。
意外にもプロ入り以来、打撃タイトルに縁のない立浪だが、今年は打点王も夢ではないのである。

そんな立浪の「勝負強さ」の原点を探るべく、名古屋商科大学を訪ねた。
立浪をはじめ、桑田、清原、福留、今岡ら早々たるメンバーを育てた前PL学園監督・中村順司さんに会うためである。(現名商大野球部監督)

高校時代の立浪を語る中村順司さん
「生意気だった。一歩間違うと大変なことになっていた選手でした。」
恩師は言った。
「真面目」「優等生」・・・、そんなイメージを抱いていた筆者は面食らう。

そんな立浪を変えたのが、2つ上の桑田、清原の姿だった。
「あんなに素質のある先輩達が、センバツで準々決勝で負けて、最後の夏に向けて一生懸命やっている。間違いなく刺激になったはずです。立浪が1年の時、寮で桑田と同室だったんですが、朝起きたら、桑田がランニングで出掛けていて部屋にいない。 そんなことを何度も経験していたから。」

さらに、同級生の片岡(現阪神)の存在も大いに立浪を奮起させた。
「高3になった段階では立浪の方が、まとまっていましたよ。片岡は荒削りという感じ。でも片岡も努力して、3年の夏には4番を打った。立浪は思ったでしょうね。あんな体の大きい奴に負けるかって。彼が負けず嫌いなのは背が小さいということもあるはずです。でもその負けず嫌いが立浪をつくったんです。」

高校時代の立浪も今と同じ、虚勢を張ったり大きなことを口にするタイプではなかった。
「生意気」と称された天才は、「先輩」や「ライバル」の姿から確実に何かを感じた。
そしてグラウンドで結果を出すことで、プレーで実力を示すことでキャプテンとしての信頼感を集めたのだという。

高3の夏、史上4校目となる甲子園春夏連覇を達成したPL。
その決勝戦の早朝の光景が、今でも中村監督の頭から離れない。
「朝、6時ごろかな、練習場のグラウンドで、立浪と片岡が草むしりをしていたんです。決勝戦の日にですよ。 寮に戻ってきた姿、雑草の入ったバケツを持ったあの笑顔がね、今でも忘れられません。」

最後に中村監督は言った。
「目標があるからきついことでも頑張れるんです。自分のことだけを思うのではなく、両親のこと、チームのこと、それを思えば耐えられる・・・。」

打点王獲得に向け立浪のバットがいっそう振れ出した時、低迷を続けるドラゴンズに光が差す。

取材・五十嵐智明

[2002.08.11]
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