取り戻した自信と信頼・日本の守護神も任せろ
〜楢崎正剛・ウクライナ戦で好セーブ連発〜
いよいよW杯本番を迎える2002年の日本代表が始動した。
22日のウクライナとの国際Aマッチは今年最初の代表の試合。6月のW杯でピッチに立つための、選手達のアピールは熾烈を極めた。

日本に帰化し代表デビューとなった三都主、4年ぶりに代表に復帰した市川、フル代表では初出場となる小笠原などに注目が集まったが、グランパスから唯一人今回の代表メンバーに選ばれたGK楢崎のプレーは、彼ら以上の光を放っていた。

多彩な攻めが目立ってしまったため注目した人は多くないかもしれないがフラットスリーディフェンスの要である森岡を欠いた今回の守備ラインは 明らかにぎこちなく、ウクライナの速い攻めに度々ピンチを迎えた。
しかしこうした危ないシーンをことごとく消したのが楢崎だった。
持ち前の高い身体能力に加え、局面での判断力、集中力に全くといっていいほどミスがなく、ウクライナ攻撃陣に立ちはだかった。
「久しぶりの試合だったけど落ち着いてプレーできた。」と試合後に振りかえった楢崎。

そう、この試合は彼にとってほぼ1年ぶりの代表での試合だった。
1年前、世界王者フランスに敵地で挑み、0−5という大敗。
この試合で普段の安定感からは考えられないイージーミスを犯し失点に絡んだ楢崎は、その後日本のゴールマウスに立つことはなかった。
以降は川口が正GKの位置をつかみ、更に若い曽ヶ端も台頭。
その曽ヶ端は 去年11月のイタリア戦直前、先発出場が濃厚といわれながら代表召集1日目にケガでリタイヤした楢崎の代役として出場したことが台頭のきっかけになった。

屈辱の1年。
グランパスの成績もあがらず、少しずつ名前が聞かれることが少なくなっていく中で、それでも楢崎は自分を信じていた。
「(試合に出られなくなってからも)やることはなにも変わっていない。 過剰な力さえ出さなければ大丈夫だと思っていた。」
こともなげに試合後語った楢崎だが逆風の中でも自分を見失わなかったこの1年の経験が、この日のプレーになって現れたのは間違いない。
川口、曽ヶ端らとの正GK争いは、もちろん終わったわけではない。
しかし、世界最高のあの舞台に楢崎正剛が立つ姿が、これまでになく鮮明になったのは確かだ。

取材:大藤晋司

[2002.03.23]

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