猛犬吼える「2ndステージ制覇へ手応えあり」
―絶好調・ウェズレイ独占インタビュー―
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W杯後、グランパスは完全に波に乗った。厳しい日程の中8試合を7勝1敗。6連勝で3位にまで浮上して1stステージを終えた。逆転でステージ優勝したジュビロがクローズアップされがちだが、結果、内容とも中断明けのグランパスはジュビロに肉薄するものを見せている。
2ndステージは堂々と優勝を争える状態にある。 |
悲願のリーグ初優勝は、ついにここにきて現実的な期待をかけられるところまでやってきた。サポーター達の思いは高まる一方だが、選手達は今、どう考えているのか。
中断明けの8試合で11得点。現在13得点でマグロン(G大阪)、高原(磐田)と得点ランキングトップタイに立つエースストライカー”猛犬(ピチブー)”ウェズレイに話を聞いた。 |
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□1stステージのグランパスをどう評価していますか?
ワールドカップが明けてからの8試合はとてもよかったね。今の我々はどんなチームにも勝てることを証明した内容といっていい。中断前はもちろんよくなかった。どこが一番変わったのかと聞かれれば、メンタリティの変化だと思う。チーム全体に「我々はやればできる」ということを共通の思いとして頭に描くことができる状態にある。それが結果となって表れているんだ。
□あなた自身の1stステージの出来はどうでしたか?
15試合で13得点。リーグトップタイなのだからとてもいい出来だったといっていい。でももっと良い結果を出せたのではないか、という気持ちも強い。何試合か決められるところで外してしまったところもあったし、結果それで勝ちを逃してしまったこともあった。100%チームに貢献できなかった。私はもっとチームを勝ちに導くポテンシャルがあると思っている。2ndステージはもっとチームに貢献し、なんとしてもタイトルを取りたい。
□中断前3勝4敗。中断明け7勝1敗。ここまで劇的にチームが変わった最大の要因は。
繰り返しになるが、最も変わったのはメンタル面だ。チームとして精神的に強くなった。点をとられてはいけない時にみんなでしのぎ、点をとらなければならない時にみんなでとっていくために必要なのは、なんといっても精神的な強さなんだ。チームとしてのまとまりは中断期間中にぐっとよくなったね。誰がどうよくなったということより、こうしたことがサッカーでは非常に重要なんだよ。グランパスはもともと能力の高い選手が揃っていたしね。
□ベルデニック監督は国内外で非常に評価の高い監督として就任しましたが、今は彼の目指すサッカーが出来ているということなのですか?
後半で7勝をあげたということは彼(ベルデニック)のサッカーを実践できているという証拠といっていいだろう。しかし完成したということではない。まだチームには波がある。彼の求めているサッカーはもっと高いところにあると思うし、私達もそう思っている。
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□あなたとヴァスティッチのコンビで点をとることが増えましたが、それは目指すサッカーができているということになるのでしょうか?
二人で点を取ることが求めているサッカーということではないよ。あくまでチームとしてどう攻め、どう守るかということをやっている結果の一部に過ぎない。よく彼とのコンビプレーを言われるんだが、最初から息が合っていたわけではないよ。これも練習の成果なんだ、チームとしていい練習ができたからこそ、いいプレーができているんだ。他の選手とだっていいプレーはできているよ。忘れずに見てくれよ(笑)
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□中断期間中に加わったヴァスティッチとのコンビが冴えに冴えたという印象があります。自分のパフォーマンスに、彼の加入はどれほど影響があったと思いますか。
私にとっては特に大きな影響があったとは思わない。私はずっと同じ自分のプレーを続けてきている。ただチームにとっては大きな影響はあったね。彼(ヴァスティッチ)はチームをサポートしようという気持ちが非常に強いプレーヤーだし、それを実際に表現できる選手だ。チームがひとつになるということにおいて彼が果たした役割はとても大きい。私も彼をサポートしようとしてきたし、周りの選手みんなが同じくお互いをサポートしようと心掛けてきた。これからもこの関係は続けていきたい。
□2ndステージの目標は?
もちろん優勝だ。これまでも常に優勝を目指してやってきた。特別に目標が変わるわけじゃない。チームの状態がいいから期待の声が大きいのは知っているが、タイトルを獲得するには今と同じ、いやそれ以上のレベルアップをしていかなくてはならない。勝ちたいのはどのチームだって同じ。我々は他のチーム以上のものを常に出さなきゃいけないんだ。
□あなた自身の得点王というタイトルもかかってくると思いますが。
私は常々言っていることだが、私の頭にはチームのタイトルしかない。得点王という個人のタイトルはチームのタイトルのあとについてくるものなんだ。得点王の選手が出たチームが優勝できるとは限らない。サッカーの歴史のなかでそんなことはいくらでもあるが、それが私の望むことではないことははっきり言っておきたいんだ。あくまで大切なのはチームのタイトル。ただそれを手に入れるために私の得点が必要なのは理解している。結果として得点王が取れれば、それはそれでうれしいことだよ。別にいらないといって他の人にあげることじゃないね(笑)
□来日して2年。もうすっかりニックネームの”ピチブー”(ポルトガル語で「猛犬」)が定着したようですが。
みんなにピチブーと呼ばれるのはとても気に入ってます。ブラジルにいるときから呼ばれているニックネームだし、日本のみなさんが私を愛してくれているからこそ呼んでもらっているんだと感じています。うれしいです。私もサポーターを愛しているし、このよい関係をこれからも続けていきたいとこころから願っています。
□そのサポーターの2ndステージへの意気込みを 。
サポーターの皆さん、私達は一丸となってタイトルに向けて戦いぬきます。そんな私達の戦いを見に、スタジアムに足を運んでください。
今度こそ私達の番だと信じています。頑張りましょう。一緒に。
いつも通り控えめな発言が多かったウェズレイだが、その目には明らかにこれまでにない自信がみなぎっていた。2ndステージ、悲願のリーグ初制覇にむけ、猛犬は貪欲にゴールを狙い続ける。
取材:大藤晋司
[2002.8.22] |