『対巨人戦・現役最多勝』の実績を引っさげ、3年前のオフにスワローズから鳴
り
物入りでFA移籍しながら、右肩痛を発症し未だ一軍登板のない川崎憲次郎投手
が
いよいよ復活に向け、カウントダウン体勢に入った。
スポーツスタジアムでは早くから川崎を追いかけ、その都度現状を克明にレポー
ト
してきたが、3年ぶりの一軍復帰が見えてきた7月からは毎週《川崎情報》をお送り
し
ているので、いつ一軍に上がって来るのか、関心をお持ちの方も多いと思う。私
も
ここ最近、川崎のファームでの登板試合は全てこの目でチェックしているのだが
、
結論から言うと、『今すぐ一軍に上げてもいいレベルに回復している』といえる
。
6月に実戦登板を始めた頃は、まだまだ本来の出来には程遠い内容だったが、7
月
25日に登板した際には(vs大阪近鉄・ナゴヤ球場)下半身の使い方で注目すべ
き
点があった。投げる際、軸足が『つま先立ち』をしていたのだ。
これによってカカトが高く上がり、その反動をうまく利用することで右ヒジの位
置
も高くなる、つまり『上から投げ下ろす』ピッチングが可能になった。こうなれ
ば
球威も増し低目への制球力も付いて来る。川崎はこの試合で、復活への課題を1
つ
クリアした。
続く7月31日、北神戸で行われたサーパス戦では先発で5回を投げ被安打10
、
3失点と結果こそ芳しくなかったが、今回も内容には見るべきものがあった。
右腕のスイングの角度が良くなってきたのだ。
理想的な腕の角度とは喩えて言うと、教室で先生に名前を呼ばれた時に『はい!
』
と手を挙げた時の角度に近い。あまり腕を高く上げすぎると、肩が回らなくなっ
て
腕の振りもぎこちなくなるが、腕が自然な角度で出て肩が回れば、ヒジが外から
出
て行く形になり、きれいなスイングの軌道が出来る。
この試合での川崎は、初回こそ『腕の位置を高くしよう』と意識するあまり肩が
回
らずスムーズな腕の振りが出来ていなかったが、試合が進むにつれ自ら修正。3
回
にはもう理想的な腕の角度で投げていた。これでまた1つ、課題をクリアだ。
残る課題は『変化球』である。川崎の伝家の宝刀は『シュート』と『フォーク』
の
2つだが、31日の試合で投げたシュートは、バッターの懐を鋭くえぐる全盛期
に
近いものもあった。 川崎のシュートは、曲がり自体は小さいのだが、打者の手元
で
グッと変化するため、目で見たポイントと実際に打つ時のポイントがずれ、結果
詰
まった当たりになってしまう。打者にとってはまことに厄介なこのシュートが再
び
投げられるようになったのは大きい。
しかし、今回もフォークは1球も投げなかった。フォークは投げる際、手首に力
が
かかるボールなので、その衝撃がヒジや肩にも及んでくる。故障明けの川崎の場
合
まだ投げるのに勇気のいるボールだが、私の見たところ、今のフォームで投げて
い
る限りヒジや肩に負担がかかることはないだろう。試合後川崎本人に聞いたとこ
ろ
『近いうちに必ず投げます』とのことだった。残る唯一の課題・フォークは本人
の
気持ち一つといえよう。
注目の次回登板は今週土曜日の大阪近鉄戦だが、内容が良ければ短いイニングで
降
板させ、翌週、地元ナゴヤドームで行われる巨人戦(8/12〜14)に中継ぎ
か
いきなり先発で起用するのも面白いのではないか。巨人キラーで鳴らした彼にと
っ
ては最高の舞台となるだろうし、また自信もつくはずだ。
(土曜日の川崎のピッチングについては、翌日放送のスポスタで詳報します。)
|