稲見駅長の鉄道だよ人生は!!

稲見眞一

国鉄未成線の活用事例。トンネルで焼酎を熟成。

「第4回全国未成線・廃線サミットin高千穂 鉄道遺産からの挑戦」が宮崎県高千穂町で開催された主たる理由は、高千穂線/高千穂~高森間の“未成線”があったことによります。

先に廃線たる高千穂鉄道の利活用/高千穂あまてらす鉄道を紹介しましたが、今日は未成線の活用です。

高千穂物産館「トンネルの駅」という施設。高千穂町の名産品、工芸品などを扱うお店。でもそれだけではありません。

赤色の矢印に注目。

そこにはトンネルがあります。

このトンネルは鉄道車両が走るために掘られたのですが、結局鉄道車両がここを通り抜けることはありませんでした。

国鉄高千穂線の高千穂駅から少し高森方面に向かった場所。未成線とは計画線ではなく、実際に工事が始まったもののその途上で建設工事が中止され、線路を敷くための路盤であったり、トンネルや橋の一部が作られたものの、その後放置された存在を指します。

勿論、中には撤去されたものもあるのですが、全国を見渡せば遺構として残っているところも少なくありません。

「トンネルの駅」のトンネルは1,115m。

そこは地元の酒造メーカー/神楽酒造による焼酎の貯蔵庫兼熟成の場所。

年間を通じて温度などの変化の少ない環境(気温17度、湿度70%)が、木樽に入れた焼酎の原酒の貯蔵・熟成にはピッタリなのだそうです。

※「トンネルの駅」はこの酒造メーカーの施設です。

神楽酒造の方の説明あり。11月26日時点で、約1300の樽があると聞きました。

なおトンネル内の見学は、自由に出来ます。

ここトンネルの駅のシンボル。それは高千穂鉄道で使われていた2両の気動車。(TR-300形)

そして蒸気機関車。(8620形48647)

TR-300形は高千穂鉄道では観光列車として活躍した車両。現在の塗色はこの青ベースですが、現役時代はこの色ではありませんでした。

(私が)驚いたのは、何と車内に入れること。これだけでもここに来る価値がありそうです。

一方の8620形。1969年10月31日に国鉄松浦線(現在の松浦鉄道西九州線)平戸口(現在のたびら平戸口)駅~伊万里駅間でお召列車を牽いたと解説板にありました。

その8620形の後ろというか置かれている線路の向こうに注目。トンネルがあり、これも未成線の遺構との事でした。

まるでこのトンネルを走り抜けてきたかのように見えます。

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