船酔いが治まったので、船内探索。ジム。使っている人はほぼ見かけませんでした。
オブザベーション・ラウンジ。
プールもありますが、流石に使う人を見ることはありませんでした。
エクスプローラー・ラウンジ。
バー。
飲み物とカップ麺のコーナー。
私は紅茶をよく飲んでいました。
船外活動で使用するゴムボート(ゾディアックボート)。
レーダードーム。
実は私、船にこれほど長い時間乗るのは生まれて初めて。(これまでの最長は、今から半世紀ほど前に乗船した2泊3日、大阪港~那覇港)
ましてクルーズ船は乗ったことがありません。
そもそもこのツアーに申し込んだ時、乗る船がこれほど豪華で、またレストランの食事(ディナー)がフルコースだとかは全く分かっていませんでした。
実の所、乗船してあらっ!ビックリ。
(ワールド・エクスプローラー号の概要)
客船タイプ…探検船(耐氷船)
就航年…2019年8月
総トン数…9,000トン
全幅…19m
全長…126m
巡航速度…16ノット(時速29.632km)
乗客定員…176名
乗組員数…125名
デッキ…6層
客室…86室
メインダイニング…1回制
運航会社…クォーク・エクスペディションズ
船籍国…ポルトガル
外洋クルーズ船としてはかなり小型の部類で、乗客定員176名も少ない方だと聞きました。
ただ南極で、船外活動を最大限に楽しむには、この小型さが必然であるのは事前の調べの中で分かってきていました。
以下、長文ですが、出来ればお読み下さい。
《南極での活動における留意点 各資料から抜粋》
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(外務省トップページ > 外交政策 > ODAと地球規模の課題 > 北極・南極 > 南極条約・環境保護に関する南極条約議定書)
《南極条約・環境保護に関する南極条約議定書》
4 近年の南極条約協議国会議における主な論点
観光問題
近年、南極への観光客数は上昇しており(1990年代後半までは6,000~7,000人、2000年頃に10,000人を突破し、現在では年間約100,000人以上)、(1)観光が南極環境に与える影響、(2)南極地域における適切な観光の管理、(3)南極における観測活動等への障害等の観点から、その対応について議論を行ってきている。
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●私たちが南極で遵守する法律。今回の旅で南極訪問に関する日本の国内法があることを初めて知りました。以下、その抜粋です。
《南極地域の環境の保護に関する法律(平成九年法律第六十一号)》
第一章 総則
(目的)
第一条この法律は、国際的に協力して南極地域の環境(これに依存し及び関連する生態系並びにこれとともに包括的に保護されるべき南極地域の固有の価値を含む。以下単に「南極地域の環境」という。)の保護を図るため、南極地域活動計画の確認の制度を設けるほか南極地域における行為の制限に関する所要の措置等を講ずることにより環境保護に関する南極条約議定書(同議定書の附属書Ⅰから附属書Ⅴまでを含む。以下「議定書」という。)の的確かつ円滑な実施を確保し、もって人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
第二節 動物相及び植物相の保存のための制限
第十四条 何人も、環境省令で定める検査を受けている場合その他環境省令で定める場合を除き、生きていない哺ほ乳綱又は鳥綱に属する種の個体(これらの個体の一部を含むものとし、これらの加工品を除く。)を南極地域に持ち込んではならない。
2 何人も、南極地域においては、次に掲げる行為をしてはならない。
一 南極哺ほ乳類若しくは南極鳥類を捕獲し、若しくは殺傷し、又は南極鳥類の卵を採取し、若しくは損傷すること(特定活動に係る行為又は確認を受けた南極地域活動計画に含まれる南極地域活動を構成する行為(締約国の相当法令の規定により当該締約国において当該行為に関する許可その他のこれに類する行政処分を受けてする行為を含む。次号及び第三号において「確認行為」という。)に該当するものを除く。)。
二 次に掲げる場合以外の場合において、生きている生物(ウイルスを含む。)を南極地域に持ち込むこと(確認行為に該当するものを除く。)。
イ 食用に供するために酵母その他の菌類又は植物を持ち込む場合
ロ イに掲げるもののほか、南極環境影響の程度が軽微な場合として環境省令で定める場合
第三節 廃棄物の適正な処分及び管理
(廃棄物の発生の抑制等)
第十五条 何人も、南極地域においては、廃棄物の発生の抑制に努めるとともに、発生した廃棄物を南極地域から除去するように努めなければならない。
●南極に興味の無い方も是非、この「南極地域の環境の保護に関する法律」の全文をお読み頂ければと思います。
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《Guidelines for Visitors to the Antarctic 南極訪問者のためのガイドライン》
環境省> 自然環境・生物多様性> 南極地域の環境保護> 南極の環境データベース> 南極条約協議国会義で決定された制度> 南極訪問者のための手引き> 南極訪問者のためのガイドライン(2011年)
上陸と移動に関する条件
環境及び野生生物と周辺の生態系、科学調査に与える影響を最小にするため、以下の条件に従って行動しなけれ ばならない。
移動
• 陸上海上に関わらず、野生生物に支障を来す航空機、船舶、小型ボート、ホバークラフト または他の移動手段は使用してはならない。
• 鳥類やアザラシの密集地域では上空飛行は避けること。措置2(2004 年)の「鳥類集中地近 辺における航空機操作ガイドライン」に従うこと(以下のサイトから入手可能 www.ats.aq/devAS/info_measures_list.aspx?lang=e ) • 小型ボートの燃料タンクへの給油は流出した液を漏らさないよう、船の上などで行うこ と。
• 小型ボートには土壌、植物、動物または動物由来の製品が含まれていてはならず、これら の有無を船から陸への作業開始前に確認すること。
• 小型ボートは、野生生物へ支障を来したり、衝突したりすることのないよう常に進路とス ピードを制御しなければならない。
船舶
• サイトでは、一度に一隻の船舶しか利用できない。
• 乗客 500 人以上の船舶は南極では上陸できない。
船舶からの上陸
• 上陸するサイトに特別な条件がない限り、一度に最大 100 人までの乗客が上陸することが できる。
• 上陸するサイトに特別な条件がない限り、ガイド 1 人につき乗客 20 人の割合を維持する こと。
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以上は一部ですが、下記のこうした保護もあり、例えば上陸の際に持ち込むリュック、防水ズボンなども、エアブラシで念入りに清掃しています。(作業はスタッフの方がされ、私たちはタッチできません)。
(外来種の持ち込み)
●南極にはいかなる植物や動物も持ち込んではなりません。
●外来種と病気を防ぐため、南極に持ち込む前に長靴を十分洗浄し、物資(衣類、鞄、三脚、テント、歩行杖)を清潔にしておく必要があります。靴底、ベルクロファスナー、ポケットに土壌や種子が含まれる場合があるため、特に注意すること。車両や航空機も同様に洗浄しなければなりません。
●南極内での生物種と病気の移動にも気を付けるべきである。サイト間を移動する際は、衣類と物資の洗浄を確実に行うこと。
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《IAATOによる 海洋生物観察ガイドライン PART1》
環境省> 自然環境・生物多様性> 南極地域の環境保護> 南極の環境データベース> 南極訪問に関するガイドライン> IAATOによる 海洋生物観察ガイドライン PART1
(野生生物を見るための一般原則)
クジラ類への接近
意図的に、以下に記載された距離よりも接近してはならない。
・小型船舶(カヤックを含む)では、30m又は100フィート ・クジラ類が群れとなって摂食している場合、小型船舶では100m又は300フィート
・船では100m又は300フィート
・20,000トン以上の船舶では、150m又は500フィート
・2隻の船舶が同時に接近する場合は、200m又は600フィート
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《IAATOによる 海洋生物観察ガイドライン PART2》
(野生生物観察に関する一般的原則)
横たわっているアザラシを観察する場合の一般的なガイドライン
・横たわっているアザラシからは、5~10m(15~30フィート)以上離れて観察すること。
海鳥を観察する場合
鳥類の近くでの船舶及びゾディアック船の運航について:
・観察は、鳥の群れの隅から行うこと。船は、鳥の群れから100m/328フィート離すこと。
小型船とゾディアック 船は30m/98フィート離すこと。
望ましい接近距離:
・巣作りをする海鳥からは、通常5~10m/16~33フィート離れること。
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南極ツアー選択のポイントは
*一度に最大 100 人までの乗客しか上陸できない
ので、乗船客が多いクルーズ船では、船外活動は可能であっても「上陸」は交代制で限りがある
となり、南極の自然をより感じる(上陸を何度もしたい方)には、今回の「ワールド・エクスプローラー号」クラスの船舶を選ぶことが大切な要素となります。
もっともこうしたことは、旅行会社のツアーパンフレットやウェブサイトを調べていく内に分かったもので、行動を起こし始めた2年前には私自身、何の知識もなく、お恥ずかしい話ですが、どうしてこれほどツアー料金に差があるのだろうと不思議にさえ思っていたほど。
具体的に言えば、その料金設定は
南極圏をクルーズ(船外活動無し)< 船外活動はあるが回数に限りがある< 1日2回程度の船外活動・上陸が可能(全乗客が一度に乗船できるボート数と、そのボートで案内をするガイドが必要)
となっており、それでも今回、このツアーを選んだのは、生涯で2度と来ることがないなら、悔いのない選択をしようと考えたからです。
※付け加えると日本人向けのツアーでは、船外活動のボートには、それぞれ通訳も必要。それを考えれば『南極圏をクルーズ(船外活動なし)< 船外活動はあるが回数に限りがある』との価格差は理解できます。
※ただ船外活動を行うには、日常生活で歩くこと、階段の上り下りに支障が無いことが必要と思われます。
そうしたことへの自信が無い方にとっては『クルーズ(船外活動無し)』でも、動物たちとの距離は少々あるものの南極を楽しむことは出来るかと思います。私自身、2022年は、膝の故障で補助具なしでは歩くことが出来なかったこともあり、『クルーズ(船外活動無し)』も視野に置いていました。
1月14日(日)15:47、船と併走するクジラを発見。
言葉にならない感動。
サヤハシチドリ(学名:Chionis albus)がお出迎え。船のデッキの手が届きそうな場所で休憩。
今回の最初の訪問地/デセプション島。(62°57'S 60°38'W)
※出来る限り、立ち寄り地の緯度と経度の座標を入れることにしました。Google マップなどで上記をコピーして、検索窓に入れて頂くと場所が分かります。なお若干のずれはご容赦下さい。
夏だからでしょうか、雪が少ない南極。19:36頃。
デセプション島は「U」字型をしており、その切れ目(実際には結構狭いです)から入り、湾を一周し、次の目的地に向けて出発しました。