近鉄名古屋線改軌の前年、近鉄に画期的な電車が登場しました。その形式は10000系。
昭和33年(1958年)登場の、近鉄特急の代名詞ともなった「ビスタカー」の初代電車です。近鉄を愛する方の中では「旧ビスタカー」という通称がしっくりくるかと思います。
名古屋線改軌の際に、「ひょっとしたら、名古屋線も走る?」と期待した方もいたかも知れませんが、それは叶わず、大阪と伊勢を結び電車として昭和46年(1971年)まで活躍しました。今日は改軌と同時期に登場した近鉄ビスタカーのお話しです。
旧ビスタカーのビスタ(=展望車、眺望を意味するスペイン語だそうです)部分。その2階席に上がる階段。私が思っていたよりも急で驚きました。
横から見ると2階建て部分の構造が分かりますが、ドーム部分はかなり狭そうです。
シートは1席、2席の3列シート。分かり難いですが、座席は進行方向に10度、外側向き(窓向き)にセットされています。
2階席からの眺望や如何に?
この10000系は1編成しか作られませんでしたが、この経験が次の世代に反映されます。
昭和53年(1978年)の撮影。
そうっ、昭和34年(1959年)登場の10100系です。改軌なった名古屋線を通り、大阪~名古屋間を突っ走り、鉄道史に残る一時代を築きました。
余談ですがこの写真は廃車となる前に、記念として運転されていたA編成+C編成+B編成の3編成併結9両編成。多くのファンがこの編成美に魅せられ沿線に足を運んでいました。そしてこの写真が貴重なのは、それまでの10100系では、何とこの9両編成は運転されておらず、これが最初で最後の晴れ姿でした。
ならばそれまでのいつもは?と言うことになりますが、6両編成もしくは単独の3両編成だったのです。
昭和30年代と思われる現在の近鉄名古屋駅。
当時は3面3線の構造で、現在の4面5線となったのは昭和42年(1967年)の事でした。
私個人としては、親戚が桑名にあったことからこの3面3線時代を経験しているはずなのですが、何故か記憶にありません。残念です。