1月16日(火)、ユースフル島(64°43’S 62°52W)から翌日の目的地、パラダイスハーバー(64°51’S 62°54‘W)に向かっての航行中、夕食前で寛いでいた午後7時前。館内アナウンスで「シャチ(学名:Orcinus orca)」の群れが見えているとの報告がありました。慌ててカメラを持って外に出られるデッキへ向かいます。
かろうじて背びれが見えている。
群れということでしたが、まだ遠くてその実態が確認出来ません。
確かに何頭かいるようです。
南極クルーズで、シャチを見ることが出来るのは珍しいとのこと。それも群れと出会えたのはかなり運が良いと、たまたま私の隣にいたガイドさんが教えてくれました。
ただこの辺で、ただならぬ状況を感じ始めました。
何とシャチはペンギンを追っていたのです。
逃げるペンギン、そして追うシャチ。
クルーズ船の眼下で、動物たちの生きるための戦いが繰り広げられていました。
ガイドさんによれば、ベテランのシャチが若いシャチに“狩り”を教えているのだろうとのこと。
死闘と言う言葉が当てはまります。
泡立つ海面。
船からこの距離です。
野生のシャチをこれほど間近に見られる日が来るとは思いもよりませんでした。
名古屋人だからやっぱり「シャチは見たいよね」とか言っていられたのも実はこの瞬間まで。
※Jリーグ・名古屋グランパスのマスコット/グランパスくんは、シャチをモチーフにしています。
ペンギンはやはり射止められていました。
そこまでならシャチは食物連鎖の頂点だから…、となるのですが、ガイドさんによればシャチにとってペンギンは(小さいので)効率の悪い食事だそうで、こうしてペンギンを鼻先でつついているのは、犬がボール遊びをしているのと同じと考えられ、狩りの訓練をした後の「お楽しみ」。多分、このペンギンは食べないと聞きました。
生物が「生きる」ということを改めて感じ入りました。この間、10分ほどの出来事。