稲見駅長の鉄道だよ人生は!!

稲見眞一

名古屋の鉄道136年史(明治時代3)武豊駅。

愛知の鉄道の始まりは明治19年(1886年)3月1日、今の武豊駅~熱田駅間の開業。

では何故武豊駅だったのでしょうか?

武豊駅と言っても今の武豊駅ではなく、その先の海岸に駅はありました。現在、その場所は「旧国鉄武豊港駅転車台(きゅうこくてつたけとよこうえきてんしゃだい)」として国の有形登録文化財として保存されています。

愛知の鉄道発祥の地がこうして残されているのは、過去の歴史を今に伝える大切なことだと思います。

●明治20年8月26日(1887年)「 名古屋」(参謀本部陸軍部測量局)

武豊駅開当時の地図。

矢印の正に海岸に接するように駅があります。

 

●明治45年(1912年)1月1日「日本写真帖 」(ともゑ商会)

少し時代は下りますが明治時代の武豊港。

●昭和17年(1942年)10月14日「鉄道温故資料」 (名古屋鉄道局総務部)

こちらは武豊駅開業時の武豊港。一見、何とも頼りない感じですがこの港があって、初めて名古屋の鉄道は作られることとなったのです。

実はこの港が鉄道建設資材の陸揚げ地。当時、鉄道の建設に使われる資材を運搬する手段は限られており、例えば既設の線路の先に鉄道を建設する場合は、鉄道を使って資材を運搬しましたが、そうでなく一から作る場合、まずは船で近くまで運び、そこで資材を下ろし、線路を作りながらその先に線路を延ばしていました。

この小さな港がそんな重要な場所とは到底思えませんが、それでもこの港があらばこそ、そもそもの中山道鉄道の建設資材の陸揚港として重要な役割を果たしたのです。海と陸の結節点。それが当時の武豊駅でした。もっとも桟橋は貧弱に見えても、当時としてはまあまあ大きな船の出入りがあったようです。

何せ当時の陸上での輸送手段は基本人力か牛馬ですから、大量の重量物を運ぶには船が適していたという時代背景がここにあります。

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