●昭42年(1967年)3月28日「名古屋駅八十年史」(国鉄名古屋駅)
国鉄名古屋駅の歴史を記した「名古屋駅八十年史」に現在の近鉄名古屋駅の工事についての記載と写真がありました。
現在の近鉄名古屋駅(当時は関西急行電鉄/関急名古屋駅)の完成は昭和13年(1938年)5月25日。営業運転開始は6月26日。よってこの写真は昭和12年頃の撮影と推察。後ろには東洋一の名古屋駅の姿があります。
名古屋の方には意外かも知れませんが、この時点で現在の名鉄名古屋駅はまだありません。その開業は昭和16年(1941年)8月12日で、近鉄よりも少し遅い時期となりました。
なお関急名古屋駅開業は、名古屋進出を目指していた大阪電気軌道、参宮急行電鉄がそのために設立した子会社関西急行電鉄の手による桑名駅~関急名古屋駅開業に伴うもので、大阪資本が名古屋に到達したと言える出来事でした。
大軌参急沿線案内。昭和7年(1932年)頃の発行。大阪電気軌道(大阪線、奈良線など)、参宮急行電鉄(大阪線桜井以東、山田線など)の路線図。
現在の近鉄路線網の骨格は見えます。
津駅から名古屋方面には桑名までの点線(予定線)があります。もっともその線に絡みつくように伊勢電鉄が走っています。その伊勢電鉄は経営悪化に伴い、昭和11年(1936年)9月15日に参宮急行電鉄と合併しています。
ところで昭和7年の参宮急行電鉄ですが、当時、伊勢電鉄買収の予定はまだ無く、独自に名古屋進出の計画があったとのことで、まずは桑名駅までは自力で開通させる意思があったことが、この図から読み取れます。
時代は下り、 大軌・参急・関急沿線案内図。前図との違いは関西急行電鉄開業により、タイトルに「関急」が増えたこと。
関急による名古屋進出。一番の課題であった木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)の架橋ですが、伊勢電鉄時代からの方策としてあった、新しい橋の建設に伴い使用されなくなっ関西本線の旧鉄橋を民間の鉄道会社が使うという、今では信じられない手法で乗り切りました。
昭和13年頃の名古屋市内電車案内図。
開通したばかりの関西急行電鉄の路線が記されています。