稲見駅長の鉄道だよ人生は!!

稲見眞一

名古屋の鉄道136年史(昭和戦前編11)昭和1桁時代の伊勢観光(1)伊勢参宮案内。

鉄道省名古屋鉄道局発行の「伊勢参宮案内」。

年代特定はこの地図でしています。

 

 

画面中央の「山田駅」は省線参宮線の山田駅。そして参宮急行電鉄の山田駅。何れも現在は伊勢市駅を名乗っています。

そしてその左側に「宇治山田駅」の名前があります。

現在の近鉄山田線の前身、参宮急行電鉄山田線は昭和5年(1930年)9月21日に山田駅(当時)まで開業し、宇治山田駅まで延伸したのは昭和6年3月17日の事でした。

と言うことでこの冊子の発行は昭和6年以降で確定。まずは確定。

そして山田駅の右側にある参宮急行電鉄外宮前駅。この駅は昭和8年(1933年)3月20日 に宮町駅(現在の駅名)に改称されており、よってそれ以前の発行ということになり、昭和6~7年頃の発行まで絞れました。

名古屋鉄道局発行の冊子なので名古屋起点の時刻表。名古屋~伊勢間の鉄道は今の近鉄名古屋線がまだ開通しておらず省線の独壇場。

※近鉄名古屋線の全通は昭和13年(1938年)6月26日。最後の開通区間は桑名~関急名古屋(現・近鉄名古屋)。

さて名古屋~亀山~山田間の所要時間ですが、早い列車では2時間19分で走る準急があり、現在の伊勢鉄道経由の快速みえの速い列車が1時間半であることを考えるとなかなか頑張っているのではと思っています。

また亀山駅乗換えの列車もありますが、進行方向の変わる亀山駅の存在に鑑みれば、直通運転の本数設定は多いのでは?というのが私の感想です。やはり当時の一大観光地の証(あかし)でしょう。

ところで参宮線の終点は当時でも鳥羽駅なのですが、この冊子の時刻表は二見浦駅までしかありません。名古屋鉄道局ではそこまでが取りあえずの「売り」ということだったのかも知れません。

神詣で汽車賃割引。

「伊勢参宮」があるのはまあ当たり前であるとして、もう一つが「信貴生駒詣で」であることは驚きでした。近鉄生駒線(開業時は信貴生駒電気鉄道)は昭和2年(1927年)4月1日までに全線(王寺駅~生駒駅)が開業していることから、省線名古屋鉄道局としても名古屋からの誘客を図っていたことが分かります。

話しは飛びますが来週の月曜日(5月16日)は、近鉄生駒線の王寺駅~信貴山下駅(開業時は山下駅)間が開業して百周年。そしてその近鉄生駒線王寺駅にはこの3月12日に出掛けたばかり。

余談ですがこの伊勢参宮案内という資料は今年、入手したものであり、何だか不思議な縁を感じています。

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