稲見駅長の鉄道だよ人生は!!

稲見眞一

名古屋の鉄道136年史(大正から~昭和へ)参宮線と伊勢神宮。

今日は大正時代~昭和初期のお伊勢参りの鉄道です。

●大正10年(1921年)10月5日「鉄道旅行案内」(鉄道省)

「鉄道旅行案内」(鉄道省)は鉄道事業者による公式旅行ガイドブックといったところでしょうか。

ガイドブックとは思えない芸術的な富士山の絵が、この本の価値を高めていると思っています。

今回はその中から名古屋~三重エリアの路線図を切り取っています。

更に伊勢神宮界隈をトリミング。

参宮線山田駅(現在の伊勢市駅)から内宮方面へと向かう路面電車の路線と、その内宮から参宮線二見浦駅に向かう路線があります。「鉄道旅行案内」が発行された当時は伊勢電気鉄道で、その後三重合同電気を経て三重交通神都線となり、昭和36年(1961年)に廃止されバスに転換された路面電車です。

今ならお伊勢参りの主流は鉄道(公共交通機関)なら近鉄で伊勢市駅へ、そこから外宮まで歩き、参拝後はバスで内宮に向かうのでしょうが、当時は内宮まで路面電車が走っていました。

まずは参宮線。「15.6.10」(大正15年/1926年6月10日)の印あり。撮影地は亀山橋とありますから、今風に解説するとJR亀山駅を津駅方面に出発し、直ぐに渡る橋ということになります。あれっ?それって紀勢本線ではないですかという声が聞こえてきそうですが、当時は間違いなく参宮線で亀山駅~多気駅間が紀勢本線となったのは昭和34年(1959年)のことです。

大正13年(1924年)2月23日の参宮線山田駅前。

昭和天皇が良子(ながこ)さまとご結婚されたのが大正13年1月26日ですので、伊勢神宮にその報告に来られたものと推察されます。

前の写真と組みになっていて翌日の日付の写真、三重合同電気の路線を走ったと思われる「ご成婚奉祝」花電車。カラーで見たかったですね。

博物館明治村の鉄道局新橋工場に展示されている「昭憲皇太后御料車(5号御料車)」は明治35年(1902年)製。

「明治天皇御料車(6号御料車)」。こちらは明治43年(1910年)製。

この御料車に皇太子時代の昭和天皇がお乗りになり、伊勢の地に向かったということはありうるのでしょうか?明治村の展示と昭和天皇が伊勢神宮に向かわれたことはここで繋がるのでしょうか?

昭和天皇は明治34年1901年〈1901年〉4月29日のお生まれです。大正時代に入り、新しい御料車が製造されているため回数は少ないでしょうが、それでも乗車された可能性はあると思っています。

ところでこうした歴史の話しですが、興味を持てない方が多いでしょう。私自身は歴史が好きなのでこうして調べて書いていますが、明治村で展示されている車両が名古屋を通って伊勢神宮に向かったことは間違いなく、そう考えると明治村の展示車両が現代に生きている気がします。

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