2024年5月5日(日/こどもの日)。この日の14時からえちごトキめき鉄道直江津駅5番のりばで、タイトルの田島塗り2号「スカ色」発車式が行われました。
始まる前に、側線で見かけたスカ色のET127系電車V8編成。とても広告ラッピング電車とは思えない仕上がり。
隣の編成が同じET127系電車とは信じられない。
今回は縁あって「取材」の方達と同列での参加の許可を頂きました。
メディアの方もおられますが、全国から来た私のような愛好家も多そう。
こういう式典の「取材」は、少なくとも四半世紀ぶりは間違いなし。自分で言うのも何ですが、気分がシャキッとします。
緊張するも嬉しさが隠しきれない広告ラッピング電車の広告主である「田島ルーフィング株式会社」代表取締役会長田島常雄氏。
筋金入りの鉄道愛好家ということで、ラッピングとは言え、なるほど1/1のスカ色の模型を作ったと思えば、これは鉄道ファンの夢の実現なのですね。
でもどうしてラッピング電車?
まず行先板のところにある「三星(ミツボシ)」は田島ルーフィングのシンボルマークにして登録商標。
そのラッピングの仕上がり具合。テーマは昭和の時代の国電。
平面のはずなのに、例えばこのドアの立体感は何。
クハユニの再現を目指したという窓の格子と保護棒。よく見ればこれも平面。(もともとある縦の窓枠部分は別)
その下にある「三」「星のマーク」「星」は、かつての郵便車にあった「郵」「〒」「便」(郵〒便)をイメージしたもの。
ここから本題。
田島ルーフィングは、建築部材の大手メーカー。そして今回のラッピングに使っているのは、自社の商品である『ORIFY』というオリジナルデザインフイルム。
これまで様々な広告ラッピングを見てきましたが、自社の商品を使い、自社の商品ではなくその利用例を提示するというこうしたパターンは田島塗りが初めて。意表を突かれるというのはこういうことを言うのですね。
なるほどその視点で見れば、えちごトキめき鉄道のラッピング電車が話題になれば、使用されているラッピングフィルムの宣伝になるということになります。
走る広告塔とは正にこのことですね。
このトイレ部分のラッピングはもう笑っちゃうしかない完成度。
さて14時となり、出発式が始まりました。
参列者は田島常雄/田島ルーフィング株式会社代表取締役会長、鳥塚亮/えちごトキめき鉄道代表取締役社長、竹内幸一/えちごトキめき鉄道直江津駅長の3名。
なおテープカットとくす玉割りは1964(昭和39)年10月1日の東海道新幹線開業式典をイメージしたとのこと。慶びと遊び心を感じます。
無事にハサミが入りました。続いてくす玉割り。
終始、笑顔の皆さん。勿論、シャッターを押している私たちも笑顔です。
出発進行!
運転士さんのポーズも決まっています。
14:26。こうして田島塗り2号「スカ色」、令和の“旧型国電”が上越妙高駅を目指し、走り始めました。
ところで今回の「田島塗り2号」のデビューは鉄道模型の雑誌「RM MODELS 346 2024-7」(発行:ネコ・パブリッシング)で特集されています。
実物なのに、1/1スケールのモデルとも言える「田島塗り2号」ゆえ、この雑誌での紹介となったと推察しています。
最後に、「田島塗り1号」「田島塗り2号」のラッピングの面白さは、ぜひ現地でご覧ください。昭和の電車のイメージを、現代の電車でどう表現するかのアイデアは秀逸で、色やタッチを変えて、図柄を立体に見せる騙し絵(だましえ)の世界を上手く取り入れているところも、私たち昭和世代だけではなく、平成世代にも新鮮に受け入れられるのではないでしょうか。
なお定期運用列車なので、いつ走るかは事前公表されません。よって出会えるかどうかは運次第となりますが、私は妙高山を背景に走る姿とか、二本木駅のスイッチバックで撮影してみたいと思っています。