“まさかの妊娠”で事件も 専門家が指摘、性教育の重要性「性交と妊娠が結びついていない子どももいる」
2020年6月29日
“まさかの妊娠”で誰にも相談できず悩む女性の助けになりたいと、力を尽くす女性がいます。
相談の半分は10代の女性
三重県桑名市にあるNPO法人「みっくみえ」。この団体には、若い女性から「生理が2週間遅れている。妊娠が少し心配」「生理が来ないです」など、日々深刻な悩みや相談が寄せられます。
「みっくみえ」の代表を務める松岡典子さん。活動の目的を聞きました。
みっくみえ 松岡典子 代表
□「みっくみえ」松岡典子代表
「(妊娠を)放置しない、なかったことということで放っておかないということを伝えたい」
「みっくみえ」では、県から委託を受け、妊娠についての相談も受け付けています。電話やLINEを通して寄せられる相談の半分が、10代の女性からだといいます。
「一緒にどうしたらいいか考えたい」
今年、妊娠をめぐり事件が起きました。
6月2日、西尾市の公園の多目的トイレの中で、男の赤ちゃんを出産し、その後死亡した赤ちゃんの遺体をビニール袋に入れ公園の植え込みに遺棄したとして、愛知県西尾市に住む専門学生(20)が逮捕・起訴されました。
捜査関係者によると、専門学生は、一緒に住んでいる母親にも妊娠をしていることを隠し、通院履歴も確認できていないといいます。周りに相談できず、1人で悩みを抱えていたとみられる専門学生。
1番身近にいるはずの親にも、相談できないケースが多いということを知っていた松岡さん。事件に心を痛め、こう訴えました。
「相談をしてほしい」
□松岡さん
「私たちはその方が妊娠したことを非難するのではなくて、一緒にその気持ちも受け止めながら、一緒にどうしたらいいかを考えたいと思っています。ですので、とりあえず電話で、もしくはLINEで相談してもらいたい」
一部の女性が抱え込む、誰にも相談できない妊娠の悩み。相談することによって救われる命があります。
「命の大切さ」を教えること
松岡さんが、予期しない妊娠を防止するために力をいれているのが「性教育」です。
この日、授業に訪れたのは、三重・四日市市内の小学校。小学生への性教育とは、どんなことを伝えるのでしょうか。
小学校で授業をする松岡さん
「人間には、大事にしなければいけない場所が、3つあります。プライベートな3つの場所。そこは大切で清潔にしなければいけない場所で、自分以外の人が触ろうとするとき、嫌な時は嫌と言える場所です。」
授業では、人を好きになったときのことにも触れられました。
「好きになると、見つめていたい、いっぱい話をしたい、触ってみたい、キスをしたいって思う。でもその全てにマナーやルールがあります。触れるとき、キスをするとき、相手に聞いてください。相手が“いいよ”って言ってからですよ。急に抱きついてキスしたらどう?だめだよね」
対象の年齢に合わせて、さりげなく性や命の大切さを伝えていました。また、思春期のイライラや落ち込みの対処法も一緒に考えていくといいます。
児童たちも真剣に耳を傾ける
このように年齢に沿った人権の観点からの性教育の実施が、将来の予期しない妊娠を防ぐため、また性被害の対策などにも重要だと、松岡さんは指摘します。
この授業が行われた四日市の教育委員会では、全小中学校の教諭を対象にした、性教育についてのガイドブック案を作成しています。
「まだ地域差があるのは事実。保護者の理解も得ながら、学校の教育現場に医療の専門職などが入り、全校的な底上げを目指して性教育を進めていかねばならないと思います」
「性交と妊娠が結びついていない子どももいる。インターネット上に情報が氾濫している時代だからこそ、正しい知識を子どもたちに伝えていくことが大切」
相談窓口
「妊娠をしてしまったが、周りに相談できる人がいない」、そんなときに相談を受け付けている窓口があります。
【愛知県】
なごや妊娠SOS(名古屋市) 052-933-0099
【三重県】
妊娠レスキューダイヤル 090-1478-2409
(LINEでの相談 「みっくみえ」HPのQRコードから登録)
【岐阜県】
乳幼児ホームまりあ 080-1550-1385
麦の穂乳幼児ホーム かがやき 090-4189-4223
助産師や看護師などの専門のスタッフが、個々が抱える不安な気持ちなどを聞き、医療や福祉の情報提供を受けることができます。
LINEによる相談には多くの10代の若者からの相談が寄せられています。相談は無料で匿名でも可能ということなので1人で悩まず、まずは相談して欲しいということです。