「自粛があけた今、注意が必要なカラダの異変」
2020年6月18日放送

主に高齢者のリハビリや研究などを行う愛知県大府市の国立長寿医療研究センター。
実は今、ある不安を抱えているといいます。

「外出の制限によって、たとえば転倒しやすくなったり、運が悪いと転倒・骨折をして、入院をされるという事例がでてきている。こういう状態が年単位で続くと、認知機能の低下という形になって表れる可能性がある」(国立長寿医療研究センター 荒井秀典 理事長)
筋力の低下が引き起こす転倒やけが。さらに、認知症のリスクが高まる可能性もあるというのです。
今回は、実は…関係の深い、運動不足と認知症についてお伝えしていきます。
運動不足と認知症、関係は深いのでしょうか?
「とても関連性があります。特に年配の方は、外出の自粛などにより、運動不足となり、筋力も衰えているものと考えられます。これが実は“負のスパイラル”を引き起こし、認知症につながる可能性があるんです」(Dr.森田)

“負のスパイラル”とは…
① 自粛などで、筋力が衰える
② ちょっと運動しただけで疲れやすくなる
③ 疲れると自然と外出や家事が面倒になり、心に影響が出る
④ 動かなくなることで血液の流れも少なくなり、脳の活動も衰え、認知機能の低下につながる可能性がある
1度負のスパイラルに入ると、なかなか抜け出せなくなるのでしょうか?
「個人差はありますが、年齢によって、筋力は1度衰え始めると元に戻すのに時間がかかることも多いです。そうなると負のスパイラルからはなかなか抜け出せないかもしれません」(Dr.森田)
そこで、そうならないための予防法について問題です。

問題:認知症予防により効果的なトレーニングはどちらでしょうか?
A.早歩き
B.ダンベルトレーニング
正解は、どちらも認知症予防には効果的ですが、より効果があるのは実は…「A.早歩き」です。

「有酸素運動によって、認知症と関係の深い、脳の前頭前野や海馬というところの血流や代謝がよくなることがわかっています。無酸素運動に近い筋トレより早歩きの方がより認知症には効果的です」(Dr.森田)
そんな認知症対策ですが、森田先生オススメのものがあります。それは「デュアルタスク」。

簡単にいうと、“2つのことを同時に行う”こと。有酸素運動をしながら、頭を働かせることです。
例えば、“卓球しながら山手線ゲーム”や“ウォーキングしながらしりとり”などです。
これが脳にいい状態なんですか?
「有酸素運動とともに、よく考えるという2つのことを同時に行うと、脳は活発に働き、これが認知症予防に効果があると考えられているんですね。これから暑くなるので、熱中症などにも気をつけながら、無理のない範囲でやってみましょう」(Dr.森田)
以上、Dr.森田の「実は…」な話でした。