Dr.森田の「実は…」な話

「日本人の死因・第6位!気づかないうちに進行する“誤嚥(ごえん)性肺炎”」

2020年10月8日放送

本人も気づかぬうちになってしまう危険な病気“誤嚥(ごえん)性肺炎”について、Dr.森田が解説します。

いまや、日本人の死因の6位という誤嚥性肺炎。
名古屋市南区の新美クリニック・新美院長は、寒くなるこれからの季節は、特に注意が必要といいます。

「誤嚥性肺炎とは、食べ物や口の中の唾液などを誤って飲み込んでしまうこと。気道の中に雑菌がたくさん入って起こる肺炎です」(新美クリニック 新美岳 院長)

本来、食べ物や飲み物を飲み込むと、入り口にある“ふた”のようなものが閉じるため、空気の通り道である気管や肺には入らず、食道や胃に入っていきます。

しかし、のどの働きが衰えてくると、“ふた”の働きが鈍くなり、食べ物や飲み物が間違って気管の方に入ってしまいます。

これを“誤嚥”といいます。

誤嚥が起きると、むせることができれば異物を吐き出せますが、むせる力が衰えていくと気管に入ってしまいます。
その結果、口の中の細菌が原因で肺に炎症が生じ、誤嚥性肺炎になってしまうのです。

さらに、注意しなくてはいけないのが“かくれ誤嚥”。

これは、自覚症状のないままに起きてしまう誤嚥のことで、寝ている間など、知らないうちに唾液や逆流した胃酸が気管や肺に入り込み、肺炎を引き起こす原因になっています。

特に、食べた後、すぐ横になるのはとても危険です!

胃は図のような形をしているので、“右側を下にして横になる”と食道より上になり、胃酸などが食道に逆流し、肺炎を起こす危険があるんです。

誤嚥にならないためには、飲み込む力がとても大事です!
そこで、飲み込む力がどれくらいあるか、チェックしてみましょう。

いわゆる「のど年齢」が簡単にわかる「ごっくんテスト」(※出典「肺炎を正しく恐れる」池袋大谷クリニック 大谷義夫 院長)

① まずは、水を飲んで、口の中を湿らせます
② そして、30秒間で、唾液を何回、ごっくんとできたか数えます

ごっくんとできた回数が少なければ少ないほど、のど年齢が高く、のどが老化しているという結果に。
また、途中から唾液が少なくなって、ごっくんがしづらくなったというのも危ないです。


のどの老化を放っておいた場合、将来、誤嚥性肺炎による死亡者が増えていくという研究データもあります。

去年、誤嚥性肺炎による死亡者数は約4万人。
そして10年後には、現在の3倍以上、約13万人になるという予想も。(出典:東京都健康安全研究センター)


飲み込む力が衰えないために“舌の体操”を行いましょう。

① 大きく口を開いて、舌を出したり引っ込めたりする動きを2~3回繰り返します
② 舌先を左右に2~3回動かします。その際、舌をできるだけ大きく動かすのがポイント


舌の体操は、のどの筋トレになり、飲み込む力を高めることができます。

さらに、誤嚥が起きた時に気管や肺に入る細菌を少なくするため、きちんと歯磨きをして口の中を清潔にすることも大切です。


以上、Dr.森田の「実は…」な話でした。