Dr.森田の「実は…」な話

寒い冬は…「ヒートショック」に注意 タオル1枚でできる“血管体操”で“しなやかな血管”を

2021年1月14日放送

今回は、毎日のお風呂に潜む危険「ヒートショック」について、Dr.森田が解説します。

寒さが厳しい季節、温かいお風呂が恋しくなりますが、そこには、ある危険が潜んでいるといいます。

「暖かいところから寒いところへ行くと、血管が急に緊張して血圧が急上昇します。寒暖差がそういった健康被害を起こすことを“ヒートショック”と言います」(名古屋市立大学病院 循環器内科 杉浦知範 准教授)

ヒートショックが原因で心筋梗塞や脳卒中などを起こし、意識を失い、最悪、浴槽で溺れ死んでしまうケースも。

実は、お風呂で年間1万9000人が死亡しているんです(厚生労働省より:病死なども含めた全国の入浴中の急死者数)。名古屋市でもここ数年、年間約200人が死亡しているといいます(名古屋市消防調べ)。

さらに、今年は特に注意が必要だと、杉浦医師は指摘します。

「コロナで換気をしますよね。入浴の前に窓を全開にして換気すると、室内がかなり低温になる。その状態ですぐにお風呂に入ろうとすると、(お風呂から出た際に)急に体が冷えてしまうという注意点もある」(名古屋市立大学病院 杉浦准教授)

コロナ対策の換気でも起こしかねないヒートショック。防ぐには、あらかじめ、お風呂や脱衣所などをできるだけ温めておくなどの対策をした方がいいということです。


では、どんな人が心筋梗塞などの“血管の事故”が起こりやすいのでしょうか。
まずは、次の表の中で、ご自分に当てはまる“行動パターン”はありますか?

当てはまるという人は、冬の時期、特に気をつけてほしいんです。なぜなら、血管に大きな負担をかけている可能性があるからです。

心筋梗塞などの血管の事故が起こりやすい人は、“せっかちな人”のように、血圧が上がりやすい人、そして、もともと高血圧の人など。

杉浦医師によりますと、日本人の3人に1人は高血圧だとされ、さらに、その3割が「自分が高血圧だ」ということを知らないそうなんです。


血管の中では、何が起きているのでしょうか。

寒くなると血管が収縮し、血圧が上がります。特に、血管が老化していて、コレステロールなどがたまってプラークという塊が血管の中にあると、その血圧に血管が耐えられず、やぶれたり、つまったりしてしまいます。

脳の血管が破れたら脳出血、つまれば脳梗塞、心臓に酸素を送る動脈がつまると心筋梗塞を引き起こします。
つまり、血圧の変化に耐えられる“しなやかな血管”が大切なんです。

実は、血管の老化が始まるのは、男性が45歳ぐらいから、女性が50歳ぐらいからといわれているので、早いうちからの予防が大切になってきます。


そこで、タオルを使った簡単なトレーニング「血管体操」を行い、普段から“しなやかな血管づくり”を心がけましょう。(久代登志男 医学博士のタオルグリップ法より)

◆血管体操のやり方◆
① タオルを丸めて、片手で握る
② 自分が力いっぱい握ることができる力の“30%ほどの力”で2分握って、1分休む
③ ②を左右2回ずつ行う
④ 1日で行う時間の目安は約10分、週3日でOK

タオルを握ることで、一時的に血液の流れがとどこおりますが、次に力をゆるめると、どっと血液が流れます。この際に、血管の内側にある内皮細胞というところから“NO(エヌオー)・一酸化窒素”という成分が出てくるんです。

NO(一酸化窒素)には、血管をひろげ、血管の壁をやわらかくする働きがあります。

しなやかな血管をめざして、冬に起きやすい“血管の事故”を防ぎましょう!

以上、Dr.森田の「実は…」な話でした。