【衆院選特集】Z世代の8割「投票したい」 調査した長田麻衣さんに聞く
今年7月、東京・渋谷にある「SHIBUYA109lab.」が投票権のあるZ世代(18~24歳、男女)に「投票したいか」をたずねたところ、約8割が「投票したいと思う」と回答しました。
中京テレビでは、調査した長田麻衣さんに取材。Z世代が選挙についてどう考えているのかを取材しました(聞き手:中京テレビアナウンサー 平山雅)
――なぜ調査したのですか
SHIBUYA109lab.ではターゲットであるZ世代の意識調査を行っています。衆議院選挙が控えていたので(投票意向の)調査を初めて行ったのですが、ここまで高い数字が出るとは思わず、驚きました。
――なぜ8割も「投票したい」と思っているのでしょうか
コロナ禍での生活が、これからどう変わっていくのかを自分たちで選んでいきたいというところがあるのかなと思います
コロナ禍でZ世代の生活がとても変わりました。アルバイトができなくなったり、大学もリモートの授業ばっかりになったり、そもそも大学で友達ができなかったり。それがどう変わるかは政治と紐づいているので(政治への)関心が高まっていて、投票に行く子も増えるのではないかと思っています。
――やはりコロナ禍の影響が大きい
もともと政治と自分たちの生活がかけ離れていたのが、コロナ禍でぎゅっと近づいたのかなと思います。
――コロナ禍前に調査していたら、8割が投票したいという結果にはならなかった?
コロナ禍前に調査していたら違う結果が出てたんじゃないかなと思います。本当に今だからこその結果だと思っています。ジェンダーや、選択式夫婦別姓など、多様性への制限がどのくらいあるのかが論点になってきていて、そこにアクションを起こしたいのがZ世代の特徴かなと思います。
――8割の「投票したいと思う」人のうち、「必ず投票すると思う」が45.8%、「投票したいが、まだ分からない」が32%います、なぜでしょうか
日々の生活と選挙の日がちゃんと合うかでしょうか。本来であれば選挙に行くために予定を調整するのが良いと思うのですが、投開票日が急に決まるため行けないこともあるようです。
また、地方から上京している学生のなかには、選挙までに住民票を移せないという理由で投票しない人もいます。住民票を移さなくても選挙には行けますが、その仕組みを知らない人もいるため、3割の人がそのように答えているのではないかと思います。
――Z世代は忙しい印象があります
私たちも調査をしていると「みんな忙しそうだな」と思います。予定が結構入っていて「社会人より忙しいのではないか」と。
――どんな忙しさなのでしょうか
学校と、あとはアルバイトでお金を稼いだら自分の趣味に使っていきたい。カフェに行ったりとか、遠出したりとか、物を買うというよりも、何かを体験しに行くことにお金をかけていて、そこで忙しくなっているのかなと思います。
――コロナ禍で遠出が難しいですが、東京都内の若者はどういう過ごし方をするのでしょうか
最近だと「ヌン活」、アフタヌーンティー活動があります。外出が制限されているので、家の近くのホテルや格安のおしゃれなホテルに泊まって、仲の良い友達とお泊り会をした後に、ホテルのアフタヌーンティーでちょっとおしゃれに時間を過ごそうというものです。それがアフタヌーンティー活動、略して「ヌン活」と呼ばれています。
――他にZ世代の特徴はどんなものがありますか
ヲタ活という、推しを応援するためにお金と時間をかけることが多いです。人を応援したり、誰かに貢献したりという気持ちが強く、それが消費に結びつくのもZ世代の特徴だと思います。
――では、自分の大切にしているアイドルや、アニメなどに出てくる「推し」が、投票の日にイベント開催すると、投票に行けない人もいるかもしれないですね
もしかしたら難しいかもしれませんが、最近は有名人の方々も投票に行こうと発信しているので、そういうのをきっかけに、「推しが言っているなら、行くか!」といった形で、投票へつながるといいかなと思います。
――有名な俳優さん、女優さんが投票を呼びかける動画も発表されましたが、あのような呼びかけがZ世代に刺さるのでしょうか
いいきっかけにはなると思っています。動画の冒頭でも、誰かに言わされているわけではなく、広告でもなくやっていますといったメッセージがあった上で、投票を呼びかけられていたので、本当にその人たちが本心で思っているんだなっていうのが伝わったと思います。
――親から「投票に行きなさい」と言われるよりも、推しから「投票に行きなさい」と言われる方が効く、と
効くと思います。海外の選挙だと、推しというか、アーティストの方々が政治について言及することも当たり前でしたが、最近は日本でもインフルエンサーの方々が「投票に行こう」と言ってくれるようになってきたので、そういうのがもっと盛り上がれば(投票が)身近なテーマなんだというのがz世代にも伝わるかなと。
――選挙に出ている候補者も、応援の対象になればZ世代からの支持を得られますか
きっと得られると思います。SNSでどれだけ身近になれるかが応援されるかどうかのポイントになるので、そこがうまくマッチすれば応援の対象になると思います。
Z世代の生活はSNSが中心になので、そこでのコミュニケーションが生まれないと距離が縮まらないと思います。
――選挙に関する情報も、SNSで収集しているのですか
(SNSで情報収集する人が)多いと思います。基本はツイッターが多いのですが、ツイッターの中でニュースの記事や、いろいろな人が発信しているのを見て、どういう事が起きているのかとか、どの政党を推すべきかを吟味しているのかなと思います。
――どうすればZ世代の投票率がアップするのでしょうか
まず投票の手段を教えてあげることができればいいのかなっていうのと、あと難しいかもしれませんが、オンラインで投票ができるように。場所とか時間とか関係なく投票できる環境とかがもっと整備されると、より参加しやすくなるのかなと思います。
Z世代も調査の中で同じようなことを言っています。オンラインで投票できるようになって欲しいとか、そもそもルールが分からないと。そこは本人たちも課題に感じているのかなと思います。