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難聴の女の子のまわりには手話を使う子どもたち 手話で広がる理解の輪 小学校にもたらされた変化とは

報道局
特集 岐阜 2020/04/02 16:00

 4月から2年生に進級する、7歳の女の子。

 実はこの1人の女の子の存在が、地元の小学校に大きな変化をもたらしました。

 

 今年1月、岐阜県八百津町の「和知小学校」。一見普通の登校風景ですが、よく見ると先生が“手話”で「おはよう」とあいさつしています。

 小学校で手話が広まるきっかけとなったのが、1人の女の子の入学でした。その女の子、凰華さん(7)は2年生になりました。

 凰華さんは生まれつき耳がほとんど聞こえない障がいを抱えています。そのため、生活していくうえで補聴器は欠かせません。

 

「私は花屋さん」(クラスメート)

「私は八百屋さん」(凰華さん)

 相手の口の動きから何を話しているか理解できるため、クラスメートとの会話に大きな問題はありません。

 例えば、授業では特殊なマイクなどをつかい、耳の補聴器に直接声を届けています。しかし、凰華さんにとって学校生活の全てに問題がないわけではありません。

「スピーカーから出る音は、とても聞きづらくて聞けないことが多い」(和知小学校 松田宣子先生)

 口の動きが分からない校内放送などは、聞き取るのが難しいといいます。

「1月30日木曜日、これからお昼の放送を始めます」(校内放送)

 そんなときは、友だちが内容を伝えてくれます。

 

 他にも…音楽の授業の時にかけるCDの音は聞き取りづらく音程をとるのが難しいため、課題の歌のCDを事前に受け取り1か月前から自宅で歌詞やメロディーを覚えるよう努力しているといいます。

 凰華さんのお母さん・千藤麻里さんが歌詞を手話で伝えたり、肩をたたいてリズムを教えたりします。時にはスピーカーの部分を直接手で触れることも。こうすることで振動を通じて音を感じ取ることができるといいます。

 

 お母さんが凰華さんの耳が聞こえないことを知ったのは、生後5日目のこと。病院で新生児の検査を受けわかったそうです。

「頭が真っ白で。家族で聞こえない人は誰もいなかったので、どうしてと思って」(母・千藤麻里さん)

「まさかの自分の子がっていうのが、正直ずっと信じられなかった」(父・千藤琢弥さん)

 言葉は、お母さんが自作したイラストのカードを使って、単語の口の動きや形を何度も見せることで覚えていったといいます。

 

 家族の懸命な支えを受け、言葉を話せるようになった凰華さん。岐阜市にある特別支援学校ではなく、地元の小学校への入学を決めました。

「不安も大きかったんですけど、小学校入る前に学校の先生方に何度かお会いした時に先生たちも“来てほしいな”という対応や出迎えてくれる姿勢が本当に温かくて、そこで親子で緊張がほぐれたというか」(母・麻里さん)

 

しかし、入学してすぐのころは、ほかのクラスメートとは違うということが恥ずかしいのか、学校で手話を使おうとはしませんでした。

「ある男の子が“お姉ちゃんが総合の時間に去年、手話を習ったよ”と指文字で自分の名前をやったので、“すごいね、僕たちも覚えたい”と指文字の表を見だして。そしたら凰華ちゃんが“給食”って実はこうやってやるんだよ”と、『給食の手話のやり方』という紙を書いてきてくれて」(和知小学校 松田宣子先生)

 クラスメートが歩み寄ったこともあり、凰華さんも少しずつ積極的に。今では、自分で手話の掲示物を作り、廊下の壁に貼りだしています。

 

 授業中も…。

「さくらんぼです、どうですか?」(凰華さん)

 積極的に手を挙げて発言。そして、周りのクラスメートも。

「バナナ」(クラスメート)

 少しずつ手話を覚えてきています。

 

 その意識は学校全体に広がり、あいさつ以外でも集会などで手話を披露するなど、学校全体で手話に取り組むようになりました。

「手話をつかってくださるなんてことは思いもよらなかったので、本当に和知小に行かせてもらって幸せです。ありがたいです」(母・麻里さん)

 

「2年生の目標は?」(記者)

「学校を休まずに行きたい」(凰華さん)

 

 4月から2年生の凰華さん。小学校生活2年目が始まります。

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