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“疎外感やコンプレックス”少年院の外国人たちが抱える悩み 更生へと導くある教官のプラン「生きづらい環境があるのではないか」 愛知・瀬戸少年院

愛知 特集 2020/03/24 13:00

“今日は私少年院に入院しました”、“心の中はすごくさみしいです”、“自分のために、かぞくのためにかわりたいです”。

 ブラジル人のミゲルくん(仮名・19)が、少年院の中でこの日記を書いたのは、去年4月。そしてミゲルくんはこの3月、少年院を出ます。

「不安なんです。グループワークが終わったら、ひとりぼっちになる。すぐ(少年院を)出るので」(ミゲルくん・仮名)

 罪を犯すなどして日本の少年院に入っている外国人の少年たち。その実情と、彼らを立ち直らせようと独自の取り組みを行う一人の教官を追いました。

 

 愛知県瀬戸市にある瀬戸少年院。ここに収容されているのは、窃盗や詐欺などの罪を犯すなどした少年たち。

 現在(3月19日時点)、15~20歳の約70人が生活し、更生のための教育を受けています。そのうち2割近くを占めるのは、本人もしくは親が外国籍の少年です。

「(やっていたのは)詐欺で、受け子と出し子としてATMからお金を出すというのもやった」(ブラジル人の少年・18)
「金銭的に困っていて、窃盗を犯しました」(フィリピン人の少年・18)

 外国籍の住人が多い東海3県からの受け入れがほとんどで、全国的に見ても外国人の少年の割合が高いという瀬戸少年院。

 

 彼らの更生を促すため、去年の夏から独自の取り組みを始めています。外国人の少年を対象にしたグループワーク、話し合いの場です。

「(日本人から)“フィリピン人は悪い人しかいない”と言われていじめられた」(フィリピン人の少年・18)

 少年たちは、3か月にわたって週に1度集まり、教官の指導とテキストに沿って、日本での生活のなかで感じていることなどを話し合い共有します。今回の参加者は、ブラジル人やフィリピン人など5人の少年。

「お母さんのことは、あまり人に言ってこなかったんじゃない?」(瀬戸少年院・法務教官 沼田好司さん)

「日本と韓国って(お互いの)イメージが悪く、絶対マイナスになるから言えなかったし、なかったことにしたかった」(母親が韓国人の少年)

 

 その参加者の1人が、ブラジル人のミゲルくんでした。10歳の時に来日。名古屋市内の中学校に通いました。

「最初、日本に来たときはとてもきつかった。日本語も全然しゃべれなかったので。ブラジルのことや自分のことはあまりしゃべれなかった。恥ずかしくて。ばかにされるだろうと思って」(ミゲルくん)

 外国人であることをコンプレックスに感じてしまい、日本の社会に溶け込めなかったといいます。

 中学校卒業後から非行が始まり、窃盗などの容疑で逮捕。去年4月、少年院に送致されました。

「今まで相談する(日本人の)相手もいなかったし、社会にいたとき(自分は)とてもひどい人でした」(ミゲルくん)

 外国人の少年たちが抱える疎外感やコンプレックス。それは、彼らが社会からはみ出す一因になると考えられると、指導教官は指摘します。

「(少年院で)外国籍の少年としゃべっていると、もどかしい思いがあるんじゃないかなと。普通にやっているつもりでも、なぜか浮いて、生きづらい環境があるんじゃないかと感じた」(瀬戸少年院 沼田教官)

 そこで沼田さんが考案したのが、外国人の少年向けのグループワークでした。

 回を重ねるごとに、誰にも話せなかった悩みを打ち明けるようになった少年たち。沼田教官が取り組みを通して、一番伝えたいのは“外国人としての自分を受け入れて、生きてほしい”という思い。

「日本人の立場と自分の国籍の立場から両方言えるわけです。あなた方は2つの世界観を持っているから、(両方の)良いところと良いところを掛け合わせてそれを大事にすれば、もっと強く生きていける」(瀬戸少年院 沼田教官)

 3か月のグループワークを終えた少年たちは、こう語ります。

「ずっと押し殺してきた自分を表に出せるようになってきた」(ブラジル人の少年・16)
「少年院みたいなグループワークを学校でやったら、違うんじゃないかなと。受けていたら、多分こんなところに来ていなかった」(ブラジル人の少年・18)

 そして、ミゲルくんも。

「(これまで)日本人と付き合わなくてもいいと思っていたが、このグループワークをやってから、もっと日本人の世界も見てみたいと思った」(ミゲルくん)

 

 3月上旬。家族に迎えられながら少年院を出るミゲルくん。担任の沼田教官に、感謝の言葉を贈りました。

「沼田先生に出会うことがなかったら、今の自分は100パーセントなかった。先生のおかげで、これから先の人生が大きく変わった。ありがとうございました」(ミゲルくん)

 沼田教官は、覚えたポルトガル語で「私はあなたの未来が幸せになることを祈っています。私はあなたを忘れません」と伝え、送り出しました。

 “二度と戻って来ないように…”。沼田教官が、少年一人一人に願うことです。

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