おしゃれな部屋が家賃1万円以下!そのワケは地域と大学生が目指す“地域の活性化” 三重・四日市市
駅からは徒歩15分と少し距離はありますが、家賃は1万円以下(家賃9250円、自治会費550円)の物件。
そのワケとは?
その物件は寝室とダイニングキッチンという間取りの1DK。
おしゃれな照明に家具、ビーズクッションまで備え付けられていて、「無印良品」を展開する「良品計画」がプロデュースしました。
このお得な2部屋に入居するのは、四日市大学へ入学した大学生・江川晃弘さんと板羽瑞貴さん。
「冷蔵庫は買った?」(記者)
「冷蔵庫もついてます。新品です」(四日市大学 江川晃弘さん)
さらに。
「晴れたら(窓から)山が見えます」(四日市大学 江川さん)
最上階の南向きで、日当たりも良好です。
「部屋がおしゃれなので、自分もおしゃれかと錯覚」(四日市大学 江川さん)
また、キッチンにカウンターがある部屋などもあるそうです。
さぞ入居する2人はウキウキかと思いきや…
「プレッシャーが半分です」(四日市大学 江川さん)
「期待されているので、けっこうきつい」(四日市大学 板羽瑞貴さん)
三重県四日市市の公営住宅「あさけが丘市営住宅」では、若者たちで地域を活性化する取り組みが始まりました。
戦後の住まい不足解消のためにつくられた築50年を超える公営住宅では、住民の高齢化が進んでいます。そのため、自治会も学生たちの入居に期待しています。
自治会長の齋藤孝治さん(70)は、代わりがいないため13年もその職を続けています。
「若い人を入れようと思えば…」
「世代交代をちょっと考えてください!」(自治会役員)
「これで若い人って誰おる?」(自治会長・齋藤孝治さん)
自治会の活動に参加してほしいという思いから、入居する大学生には自治会への加入が義務づけられていました。
本来であれば公営住宅に住むには所得制限などがありますが、地域の熱意により今回東海地区で初めて地域の活性化のために学生が入居することになったそうです。
「地域に来ていただいたので、できれば地元で就職してもらいたい」
「(地域で)結婚してもらってね」(地元企業)
実は江川さんと板羽さん、1人暮らしは初めてです。
「一人っ子なので、心配やからと(親に)言われていた。最後は成長したいから(と説得)」(四日市大学 板羽さん)
自治会長の齋藤さんはこれまで、見守り活動を一人でやってきました。今後は、見守り活動も、学生さんと一緒にやりたいといいます。
「若い人が入ってくると楽しいわ」(住民)
「助けられることは助けたいけど、俺も年やで。いずれは助けられる方にまわる。大学生に助けてもらって、仲間になりたい」(自治会長・齋藤さん)
この物件は、2月から住民と学生たちが一緒になってリノベーション。地域貢献としてこの取り組みに賛同した「良品計画」や地元の建設会社も協力しました。
「こうやってバッテンに塗る」(良品計画担当者)
「おおきれい」(住民や学生たち)
先日開催された学生と住民たちの交流会。普段は家にこもりがちだった住民たちも、学生とのふれあいに心がおどりました
「手が動いてまうね。若い子にひっぱられんねん」
「若返りましたな」(住民)
「ふれあいが増えていくのが楽しいなって感じてます」(四日市大学 江川さん)
そして迎えた入居日の4月1日。思わぬ事態が…。そこに住民たちの姿がなかったのです。
実は新型コロナウイルスの影響で、お年寄りとのふれあいを自粛することになったのです。もちろん、住民主催の歓迎会も中止です。
「夏祭りならいろんなことできるんじゃないか」(四日市大学 板羽さん)
今は、卒業までにどういった形でこの地域に貢献できるのか模索する2人。自分たちで終わりではなく後輩に引き継いで、この活動が続いていってほしいと願っています。