地元あるある?スケジュール調整で失敗も 3日後を表す「ささって」を調べてみた
就職や進学で別の都市へ引っ越す人も多い4月。それまでの地元生活では”当たり前”だったことが、実は”珍しい”ことだったと気づかされることがあります。
三重県出身で、現在は名古屋で働く私にとってのそれは、「ささって」という言葉。
三重県では、未来を表す時間表現として、「あした」「あさって」の次を「ささって」と言います。
3日後を表現する言葉として広く使われているのは「しあさって」ですが、三重県では、3日後を「ささって」、4日後を「しあさって」と言います。
あした、あさって、ささって、しあさって。
ゴールデンウィークなどに帰省すると「他県の人とスケジュール調整に失敗した」と話題になることも。なぜ、「ささって」と言うのか、三重大学で方言を研究する余健教授に聞きました。
■なぜ「ささって」と言うのでしょうか?
「ささって」の由来は、諸説あります。
①「再来週」「再来年」など”次”を指す意味で用いる「再=“さ”」を「あさって」につけて「さあさって」、これが短く変化して「ささって」になった説があります。
②もうひとつは、数字をイチ、ニ、サン、シ…と数えることから、3日後を「“さん”あさって」と表現し、そこから「ん」が脱落して「ささって」になったという説もあります。この場合、4日後は「“し”あさって」となりますので、説明がつくとも考えられます。
■「ささって」を使っているのは三重県民だけ?
現在、「ささって」は、三重県内で広く使われています。
かつては、岐阜県の全域や知多半島など愛知県の一部などでも使われていましたが、使う人がだいぶ減りました。
また、三重県内では、若い世代も「ささって」を使っていることが確認されていて、全国的に伝統的な方言が使われなくなっている中、受け継がれていっているのは、珍しいケースだと言えます。
何気ない日常会話の中で、気づかされることがある方言。他の地域にはない地元の個性のひとつとして、大事にしていきたいものだと思います。(中京テレビ・デジタル取材記者)