キューバの至宝・リナレス 日本球界での成功のポイント
〜2002年7月23日(火)〜

ドラゴンズ後半戦の起爆剤として期待のかかる 《オマール・リナレス》。私が見た限りではミートの上手い中距離ヒッター、 大げさに言えば《イチロー》のようなタイプだと思う。つまり、どのコースのボールに対してもバットを上手く もっていくことができるバッターということだ。
バットワークに関しては何の問題もないように見受けられた。 実戦から遠ざかっているにもかかわらず、あのバットコントロールはさすがだ。

特筆すべきはボールに対するヘッドスピード。ファームで対戦した藤田(阪神)が 『振りぬくところが恐い』と語っているが、投げたところにバットが出てきてその先が早く投手に向くこと程恐いものはない。 これは投げた投手しか分からないことだが、ピッチャー返しなどセンター中心のバッティングをする巧い打者によく見られる。

しかしその才能は今のままでは発揮できない。体を絞らないとパワーもキレも出ない。 それらは全て脚力に関わってくる。脚の力がパワーであり、脚の俊敏さがシャープさなのだ。
そして素振りではなく、バッティングを存分にやって欲しい。 私が社会人を教えたとき、金属ではなく木のバットで打ちこみをやらせた。 木のバットは芯を外すと手がしびれる、この練習が芯を捕らえる感覚を大いに養わせる。結果、そのチームは好成績を修めた。 だからこそ、金属バットで猛威を振るったリナレスには木のバットで存分にボールを打ちこんでもらいたい。 そうすれば天性のバットワークにさらに磨きがかかる。

リナレスが4番に入り福留とクリーンアップを組めばドラゴンズの今後は面白いものになる。期待したい。

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