守護神から中継ぎの柱へ…大塚晶文
〜2003年4月24日(木)〜

今季のドラゴンズは中継ぎ投手陣の充実が著しいが、中でも貴重な存在となっているのが バファローズから移籍してきた大塚である。これまでストッパーとして申し分ない実績を 挙げてきたが、ギャラードがいる関係で、今季は「セットアッパー」という新しい役割を 務めることになった。しかし実力者の彼のこと、難なくこなしてくれるだろう。
特に起用する首脳陣の立場からみると、、「勝利の方程式」にいろいろなバリエーションが 増えたのは大きい。「中継ぎのローテーション」を組むことも可能になり、意識的に落合 ・岩瀬を休ませることもできる。投手陣がへばってくる夏場には、この中継ぎ陣の層の厚 さが大いにモノを言うはずだ。

ただ大塚については「移籍を巡るオフのゴタゴタで、キャンプをやっていない」ことを理 由に今季の活躍を疑問視する声がある。だがこの点については、そんなに心配はいらない だろう。何故ならブルペンでの投球練習や、実戦への登板自体がいいトレーニングになる からだ。
大塚の場合、確かにキャンプに参加しなかったが、キャンプ期間中は一人で自主 トレを続けていた。ドラゴンズ移籍後も二軍戦に調整登板しているし、シーズンを乗り切 るだけの体は出来上がっている。今後も登板機会が増えて行くたびに調子は上がっていく ことだろう。この点のハンディはないと見ていい。

また、先週金曜日の巨人戦に登板した際、9回、同点の場面で後藤・二岡に2発のホーム ランを浴びて負け投手になったことを気にする向きもあるが、あれはカウントを稼ごうと つい「抜いた球」を投げてしまったことが一番の原因である。
先発投手と違い、リリーフ投手にはカウントを揃える球など必要ない。短いイニングでは 常にベストの球を全力で投じて勝負すべきで、そのことは大塚自身もよく分かっているは ずだが、そのわずかに生じた隙をジャイアンツ打線は見逃さなかった。この2発は本人に とってもいい薬になっただろう。ベンチに帰るなり、グラブを叩きつけて悔しがっていた 大塚のこと、今度巨人戦に登板する時は必ずや「お返し」をしてくれるはずだ。

今後の大塚の使い方だが、場合によってはセットアッパーだけにこだわらず「第2のスト ッパー」として起用するのも手だろう。ギャラードがもし何試合か続けて不安定なピッチ ングを見せたら、大塚と役割を交代させてみるといい。「自分の他にもストッパー候補が いる」という危機意識が、外国人にとっては格好の刺激になるからだ。
常に闘志ムキ出しで打者に向かっていく姿勢も、他の投手たちにいい影響を与えていると 聞く。
今後もシーズンを通してフル回転していくことになるだろうが、中継ぎ陣の柱とし てチームを引っ張って行ってもらいたい 。

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