川上・朝倉 一軍復帰のメドは?
〜2003年5月23日(金)〜

5月に入って、朝倉が不振のためファーム落ち、さらにエース・川上が右肩関節唇損傷で登録抹消とローテーションの柱が2本も欠けてしまったドラゴンズだが、独走するタイガースを追撃するためには、この2人の復活は不可欠だ。

まず川上だが、突然故障が発生したわけではなく、聞けば4月下旬から痛みを堪えてマウンドに上っていたという。周囲も早く気付くべきであったし、無理をして投げた本人にも問題があるが、これも先発のコマ不足が生んだ悲劇といえよう。もともと彼は肩が緩いピッチャーである。肩の関節がしっかりはまっていない、いわゆる「ルーズショルダー」であるが、このタイプのピッチャーは骨と骨との間にスキ間が生じその間で筋肉が擦れて炎症を起こしやすい。実は私も現役時代に同様の経験をしたことがあるのだが、その痛みたるや尋常ではない。結局故障したシーズンは棒に振ったのだが、私の場合はルーズショルダーを克服するために、鉄アレイを使って肩の筋肉とジン帯の強化に努めた。そのお陰でいくら投げても骨がズレることはなくなり、翌年は故障明けにも関わらず69試合に登板することが出来た。幸い川上は全治2週間ということだが、鍛錬を怠るとまた同じ症状が出てくる可能性がある。完治した後も、肩周辺の筋力アップに努めてもらいたい。そうすれば私同様、故障前と変わらないピッチングが出来るはずだ。

一方朝倉だが、直接ファームを覗きに行ってみると、前回のコラムで指摘した「足が一旦止まる」クセは既に修正されていた。ステップも歩くような感じで前に足が出てくる「ウォーキングステップ」になっており、これなら早く復帰出来そうだと思ったが、16日に登板した二軍戦では制球が定まらず、一軍昇格は見送りとなった。とはいえ腕は良く振れるようになってきたので、残る課題は制球力だ。これはリリースポイント(ボールを離す位置)を安定させることに尽きる。ストレートを投げる時 と、変化球を投げる時の腕の軌道を一定にするためには、シャドウピッチング、あるいはラケットを振るなどの練習が効果的だ。彼も復帰までそう時間は掛からないだろう。

離脱した彼らの穴を埋めるため、山本昌・紀藤といったベテランが奮闘している。今 度は 若い2人がお返しをする番だ。戻って来たら、再びチームを勢いづけるような目 覚ま しい ピッチングを期待したい。

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