前半戦を振り返って…巻き返しのカギは野口
〜2003年7月16日(水)〜

ペナントレースも折り返し地点を迎えたが、振り返れば今季のセ・リーグはタイ ガー スを 除き、前半戦はどのチームも非常に不本意な成績だったといえよう。ドラゴンズ は4 0勝 39敗、かろうじて貯金を1つ残し3位で折り返したが、開幕当初は優勝候補と 言わ れた チームがいつまで経っても5割ラインをウロウロしているようでは、ファンの期 待を 裏切 ったと言われても仕方がないだろう。

まず打線のことから言うと「外国人を軸に据えたクリーンアップが組めなかった こと」これが大きく響いた。
開幕当初はそこそこの活躍を見せたアレックスとクルーズ だが、 日 本の投手の「変化球攻め」に戸惑い次第に成績は降下。結局今季も立浪が四番を 打つ こと になった。破壊力、そして相手投手に与える脅威を考えると本来は外国人が四番 &五 番に 座るか、あるいは立浪の前後を挟んで三番&五番を打つのが理想である。幸い途 中か らリ ナレスが一軍に復帰し、外国人野手たちの間にいい意味での緊張感が生まれた。 後半 戦は 3人に、チームの起爆剤となる働きを期待したい。

そして投手陣に関して言えば、誤算は「計算できる先発の柱が相次いで故障した こと」に 尽きる。
川上・朝倉と2ケタ勝てる投手がシーズン中に2人も消えれば台所が苦 しく なる に決まっているが、残念なのは2人とも事前に危険な兆候があったにも拘わらず 、周 囲が 早い段階でそれに気付き、ストップをかけられなかったことである。チーム事情 から 無理 をして投げ症状を悪化させたことは悔やまれてならないが、済んだことを今さら あれ これ 言っても仕方がない。後半戦は残ったメンバーで戦って行くしかないが、その中 心に なる べきは、経験上からも格からもやはり野口しかいないだろう。
しかしその野口も、2日のタイガース戦、8日のベイスターズ戦と連続ノックア ウト され 今一つパッとしない。先月末に6勝目を挙げた時は「これなら完全復調も近い」 と思 わせ たが、この変調ぶりは、それまで中6日の間隔を空けて使っていた所を中5日に 詰め たの が原因だろう。これも先発のコマ不足が招いたことだが、やはり故障明けの投手 は周 囲が 気を遣ってやることが大切だ。十分な登板間隔を空けるなどの肉体的なケアはも ちろ んだ が、「また故障するんじゃないか?」という不安を和らげてやる「精神的なケア 」も 必要 なのである。

かつて投手コーチとして直接指導した私の目から見ると、現在の野口はまだ本来 の姿 には ほど遠い。球宴期間中にミニキャンプを行い調整に努めるそうだが、鋭く腕が振 れ持 ち味 のタテの変化球(スライダー、シュート)が決まるようになってこそ本物の野口 であ る。 そうすればゴロを打たせるピッチングが可能になり、少ない球数で長いイニング を投 げら れる、つまり完投も増えていくだろう。その点も含めたチェックは野口本人だけ では 不可 能だ。後半戦、チームの浮沈は彼が握っている。精神面、肉体面、そしてフォー ムと 全て にわたって、コーチングスタッフには万全のケアをお願いしたい。

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