ドラゴンズ新監督に望むこと
〜2003年10月1日(水)〜

 ドラゴンズ・山田監督の電撃解任に続き、今度はジャイアンツ・原監督が辞意を 表明 した。
 両監督とも3年契約の2年目、しかも原監督は昨年の日本一監督である。 開幕 前、優勝候補と言われたドラゴンズ・ジャイアンツの監督が今年限りで共に交代 する など、誰が予想しただろうか。タイガースに独走を許したとはいえ、両チームと もま だAクラスを争っている最中なのだ。シーズン途中での発表となったことも含め 「な ぜ辞めるのか?」と納得の行かないファンも多いと思う。せめて全試合終了後に 判断、 という形に出来なかったものか。ファンに不信感を抱かせる交代劇は今回限りに して もらいたいと、切に思う。

 ところで来季の指揮を執る後任監督だが、堀内新監督の就任を同時に発表したジ ャイ アンツに対し、ドラゴンズは未定のままだ。フロントによれば「今月上旬をメド に決 定したい」ということで、OBを中心に人選が行われるようだが、新監督に望み たい のは、当たり前だが「ドラゴンズを明るく、強いチームにしてほしい」というこ とだ。  移籍してきた選手が一様に言うことだが、ドラゴンズというチームは個々の選手 は明 るいキャラクターの持ち主なのに、集団になると大人しく、どこか元気さに欠け る所 がある。監督自ら先頭に立ってチームを引っ張って行けるような溌剌(はつらつ)さ、それを ファ ンも望んでいるのではないか。
 さらに、常時優勝に絡んで行けるチーム作りも必要だ。これにはドラフト戦略や トレ ードなど、フロントのバックアップも必要だが、同時に現場レベルで「選手たち に危 機感を持たせる」ことも大切である。「俺はレギュラーがずっと保証されている 」な どと考える選手が一人でもいると、その緩んだ空気が伝染し、チーム全体がダレ て行 く。今季のタイガースがあそこまで勝負強いチームに変貌したのは、オフに大幅 な選 手入れ替えを行い、チーム内に「競争状態」を作ったことが大きい。主力といえ ども、 ウカウカしているとレギュラーを外される。ベテランたちが目の色を変えて練習 する 横で、若手選手も「スキあらばレギュラーを」と必死でアピールする、この緊張 状態 を作ったのは星野監督の手腕といえよう。監督にはそういう能力も要求されるの だ。

9連覇の偉業を達成したジャイアンツ・川上監督も、チームを活性化するのが巧 かっ た。V9中も他球団から、金田正一(国鉄)高倉照幸(西鉄)関根潤三(近鉄) 桑田 武(大洋)といった主力級のベテラン選手を次々に獲得。生え抜きの若手選手た ちに 対して「彼らを追い越さなければ、レギュラーの座はない」と高いハードルを設 定し、 選手たちも「実力で追い抜くのが巨人魂」と必死で練習したものだ。さらに川上 監督 はよくこう言っていた。
「ON以外は全員、トレード要員だ!」
 V9の背景には 、こ ういう厳しさがあったのである。「明るく、常に競争意識に満ち溢れた集団」… ドラゴンズの新監督には、そんなチーム作りを望みたい。



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