『“オレ流”投手起用』に思うこと
〜2004年4月22日(木)〜

今週は日曜に川上が完投、水曜に山本昌が3年ぶりの完封と、このところ先発投手陣が奮闘しているドラゴンズだが、一方、今シーズンはドラゴンズ得意の『つないで逃げ切る』パターンに持ち込もうとして失敗するケースも目立つ。その原因はどこにあるのか?

監督の仕事の中で最も難しいのは投手交替だ、とよく言われるが、実際にピッチャーの替え時を的確に判断するのは非常に難しい。特に野手出身の 監督の場合はなおさらである。落合監督の場合、あれだけの大打者だっただけにピッチャーの事も当然よく分かっているし、春季キャンプでも打撃練習よりブルペンを見ている時間の方が長かったぐらいだ。投手陣については全メンバーの実力を把握しているという自負があるだろう。
だがピッチャーの起用に関しては、性格や適性、当日のコンディションなど様々な要素も考慮に入れた上で判断しないといけない。それは普通なら投手コーチと密に相談して決めることなのだが『コイツならここまで任せても大丈夫』と監督だけで決めてしまっている・・・ 今年のドラゴンズの投手起用を見ていると、どうしてもそんな印象を受けるのだ。

それを一番感じるのが、岩瀬の起用法だ。現時点で15試合中7試合に登板しているが、うちリードしている場面で、ストッパーとしてイニングの 頭から出てきたのは3試合だけ。前倒しで8回にランナーがいる場面での起用も目立つ。つまりストッパーだけでなく、去年と同じセットアッパーも同時に任されているのだ。
中継ぎの柱・落合を欠くチーム事情もあるし、岩瀬本人も意気に感じて投げているのは分かる。だが、セットアッパーとストッパーは全く別な仕事だ。岩瀬の場合、去年までは8回を抑えたところで『これで自分の仕事は終わり、後は大塚へ』だったが、今季は『9回も自分』である。
打たれた時のピッチングを見ていると、これまでのクセなのか、8回を終えた時点で知らず知らず緊張の糸が切れてしまっているような気がしてならない。そういったメンタルな部分、そして2つの違った役回りを任されることによる目に見えない疲労・・・その辺が不安定な成績の原因ではないか。これは投手出身者でないと、なかなか理解できない部分である。

選手交替に関しては全て自分で決める、最終責任は自分で取る、という監督の姿勢は結構だが、餅は餅屋、投手起用に関してはある程度、専門家の投手コーチに任せた方が良いと思う。ペナントレースはまだまだ先が長い。
『このチームは投手でもっている』と落合監督自身が言うなら、なおのことそうすべきだと思うのだが・・・

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