復活なるか?ファームで調整中の野口を直撃
〜2004年6月17日(木)〜

 先週『スポーツスタジアム』の企画でナゴヤ球場を訪問、現在ファームで調整中の野口の様子を見に行って来た。やはりドラゴンズの先発陣は右の川上・左の野口の両エースが両輪となって働いてこそ、本来の姿である。ドミンゴ・平井と先発が2枚も欠けただけに、余計復調が待たれるところだが、実際逢って話してみると、本人は至って元気な様子で安心した。
『ファームでは徹底的に走り込んでもらう』という落合監督の言葉通り、二軍落ちを告げられた翌日からさっそく走り込みを始めたそうだが、元々野口は練習の虫で、コーチに言われなくても自ら黙々と走るタイプの選手だった。そんな野口に、敢えて言わずもがなの指令を出したのは、恐らく『一度頭を空っぽにしてから戻って来い』という意図なのだろう。本人もそれをよく理解しているようだった。

ピッチャーというのは微妙なもので、起用法などちょっとしたことで精神的に乱れるとピッチングに集中出来なくなり、変調を来すことがあるのだ。野口の場合、今季は先発で早々とKOされた後に中継ぎ・抑えでの登板を命じられたことがあった。結果はいずれも打たれ、余計に自信を喪失することになったのだが、野口はマウンド上で『首脳陣は俺のことを一体どう考えているのか?』という疑問を感じながら投げていたに違いない。

そもそも、今年の野口はヒジも肩もどこも悪くない。なのに勝てないのはこういうメンタルな部分で引っ掛かっていたこともあるだろう。さらにもう一つ言わせてもらえば、今年の野口は『ボールを置きに行って打たれる』ケースが目立つ。元々コントロールで勝負するタイプではなくむしろ荒れ球で、狙い球が絞りにくいのが野口の持ち味なのだ。不振の時はあれこれ細かいことを考えるより、原点に返って、真ん中に力のある球を投げ込んで行く、そのくらいの開き直った気持ちでマウンドに立てばいい。そうすれば野口の場合ボールは適当に散ってくれるのだから。
『考え過ぎ』が災いのもと、だったのである。

戦列から離れ一度頭を整理した効果からか、13日に行われたファームの試合(対ダイエー二軍)では先発して5回を投げ、毎回の10三振を奪い無失点と、野口は完璧なピッチングを見せてくれた。本人も手応えを感じたことだろう。次の登板は一軍で全く問題ない。これから貯金を増やしていくためには、野口の完全復活が不可欠である。これまで迷惑を掛けた分チームの勝利に貢献して、ペナントレースをもっと盛り上げてもらいたい。

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