優勝のカギを握る最強バッテリー 川上&谷繁
〜2004年8月16日(月)〜

 先週行われたジャイアンツとの首位決戦で勝ち越し、優勝にまた一歩近付いたドラゴンズだが、3試合とも先発ピッチャーがそれぞれの持ち味を発揮し、内 容的にも非常に満足のいく結果となった。川上は緩急を付けながらコーナーぎりぎりを厳しく突いて行く攻めのピッチングで完封。山本昌は決め手を与えないベテランらしい投球術で逃げ切り、ドミンゴは前半のエラーが響き敗れたものの、打者のタイミングを外すピッチングがきちんと出来ていた。次回の直接対決(24日〜26日、東京ドーム)でも、この3枚看板が先週と同じピッチングを心掛ければまず打たれる心配はないだろう。それまで下位チームに取りこぼさず、直接対決で勝ち越せばジャイアンツに引導を渡すことが出来るはずだ。

 先週の3連戦、先発陣の好投の陰には、谷繁の冴えたリードがあったことも見逃せない。特に初戦、1対0の8回表、1死2塁と一打同点のピンチで、代打・元木を迎えた場面のリードは圧巻だった。元木の得意な右に流すバッティングを封じるため、初球から5球連続インコースをストレートで攻め立て、6球目は外角に外すと、7球目は低目ギリギリに決まる144キロのストレートで三振に打ち取ったのだ。この日の川上は全く付け入るスキがなかったが、こういう絶妙のコーナーワークに加え、スローカーブによる緩急を付けたピッチングをされたらバッターはお手上げである。完封自体は川上の力によるものだが、エースの持てる力を最大限引き出した谷繁のリードも同様に賞賛すべきだろう。6点差をひっくり返した14日のスワローズ戦では、9回に逆転の決勝2点タイムリーを放った谷繁だが、バッティングが好調な時はリードも上手く行くものだ。「ここに投げて来たら打てる」というカンが働く時は、マスクをかぶった時、その逆を行く配球をすればいいからだ。腰の具合はまだ本調子ではないようだが、日本一を知る彼のリードは、優勝を目指す上で大きな力になることだろう。

 そして川上には「残り試合、最後までローテーションを守り、投げる試合は全て勝て!」・・・これを優勝のためのノルマとして課したい。1年を通してチームの勝利に貢献してこそ、真のエースである。プロ7年目にして、いまだに新人王を獲った98年の14勝が最高、というのでは不満が残る。昨年故障したことで、川上は故障しない体を作ることの大切さを知り、肉体的にも逞しくなっただけではなく、精神的にもタフになった。このままゴールまで無傷で突っ走り、エースの貫禄を示して貰いたいと思う。

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