白熱の日本シリーズ ドラゴンズ日本一へのカギは?
〜2004年10月19日(火)〜

いよいよ幕を開けた日本シリーズ、ナゴヤドームでの第1戦は投手戦をライオンズが制し、打撃戦となった2戦目はドラゴンズが逆転勝ちで勝利。川上、松坂という、お互いのエースを立てた試合で敗れるという予想外の展開となった。
2試合を終え1勝1敗のタイスコア。今日から戦いの場は西武ドームに移るが、力は全くの五分ながら、投手力に関してはドラゴンズの方が明らかに上である。川上・山本昌・ドミンゴの先発三本柱に加え、中継ぎ・抑えも、落合・平井・岩瀬ほか安定感のあるスタッフが揃っているからだ。さらに、第3戦から第5戦まで採用のDH制もドラゴンズに優位に作用するだろう。何故なら次の回の打順を考えずに、いつでも投手を注ぎ込めるからである。

これに比べると、ライオンズ投手陣の層の薄さは否めない。が、コントロールのいい張誌家、そして第2戦で打たれたとはいえ、間隔を詰めて投げられるエース松坂にはやはり要注意だ。
一方打線に関しては、フェルナンデス・カブレラ・和田・中嶋を擁するライオンズの長打力は確かに要警戒だが、コントロールミスさえしなければ、さほど恐れることはないだろう。低目中心に攻めて行けば、カブレラ以外は一発を喰らう可能性は少ないからだ。絶対に禁物なのは高目の甘い球である。ボール球でも楽々スタンドまで持って行くパワーは侮れない。

あとは前にも言った通り、レギュラーシーズン通りの「機動力を生かして点を取り、守り勝つ野球」を心掛ければ日本一の座は自ずと転がり込んで来るだろう。第1戦がいい例だが、ヨソ行きの野球をやったらシリーズでは負けなのだ。第2戦の逆転勝ちでドラゴンズナインは明らかに吹っ切れた。特に松坂を打ち崩せたのは大きな自信になったはずだ。そこでもう一つ付け加えておきたいのは「相手を必要以上に恐れるな、だが、ナメてかかるな」ということだ。
ライオンズはプレーオフ第1ステージ、第2ステージと、厳しい勝負を8試合も経験して来た。あの強いホークスを敵地でうっちゃった粘り強さは、やはり相当なものだ。修羅場をくぐり抜けて来たチームは強いが、その勝負強さを支えるのが「伏兵」の存在である。第2戦で山本昌から連続タイムリー二塁打を放ち、試合をひっくり返した佐藤・赤田の1・2番コンビなどはその代表だが、こういう選手は、短期決戦で一度波に乗ると手が付けられなくなったりするものだ。彼らを「ラッキーボーイ」にしてはいけない。逆にドラゴンズからラッキーボーイが生まれれば、しめたものだ。

かつてジャイアンツがシリーズ9連覇を達成した時も、長嶋や王だけがMVPを獲得したわけではない。柴田、高田、森、末次といった脇役の活躍がシリーズの流れを大きく変えることがよくあった。この点だけは、レギュラーシーズンとは違った部分であり要注意である。もっとも勝負師・落合監督なら、それはよく心得ているはずだ。
残り試合も僅かだが、日本一決定戦にふさわしいガップリ四つの名勝負を期待したい。

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