即戦力重視/今年のドラフト戦略が意味するもの
〜2004年11月26日(金)〜

先日の放送でドラゴンズのドラフト2巡目指名・中田賢一投手(北九州市立大)と、5巡目指名の鈴木義広投手(中部大)に会った。どちらも即戦力の大学生右腕だが、第一印象は、2人ともプロ向きの逞しい体をしているということだ。特に中田投手に関しては、軸足への体重の乗せ方や、フォロースルーなども無駄がなく、既にピッチャーとして95%ぐらい完成していると思う。ただ左肩の開きが少し早いことや、投げる時にキャッチャーへの視線を切ってしまう点は気になったが、そういう細かい点を修正すれば、すぐ一軍で使えるピッチャーになるだろう。伸び伸びした練習環境を求めて、私立の強豪校に行かずに敢えて公立大学に進んだ芯の強さや、友人たちが口を揃えていた真面目で研究熱心な性格にも好感が持てた。スタミナもあるようだし、早晩、右の先発候補として名乗りを挙げることだろう。

また鈴木投手もサイドスローの楽しみな素材だ。全くの偶然だが、彼は以前スポスタで『変化球』の特集をやった時に、モデルとして投げてくれたことがあるという。当時、VTRを見た際に『この中部大のピッチャーはいい球を投げるね』と言った覚えがあるが、ドラゴンズに指名されたとは奇遇である。改めて、最近のピッチングを見せてもらったが、前よりスイングが速くなっていて格段の進歩を感じた。聞けば『絶対にプロに入る』という確固たる目標を持って、日々練習に励んでいたという。こういう選手は必ず伸びて来るものだ。スライダーに加え、サイドハンドで最高149キロの速球を投げられたらなかなか打てるものではない。もう少し体全体で投げるよう心掛ければ、斉藤雅樹のようなピッチャーに成長することも決して夢ではない。

今年のドラフトは、11人全員が大学・社会人選手だった。落合監督の意向でもある即戦力重視の補強は何を意味するのか・・・そう、競争は既に始まっているのだ。一刻も早く一軍で投げることが彼らに課せられた使命である。2人には直接言っておいたが、プロのピッチャーはとにかく練習で走らされる。坂道をランニングするなど、今のうちに目一杯走り込んでおくことだ。層の厚い投手王国・ドラゴンズで競争に勝ち抜くには並大抵のことではないが、優勝チームに即戦力として見込まれたのだ。自信と覚悟を持って、プロで頑張ってもらいたい。

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