沖縄春季キャンプ 楽しみな逸材を発見
〜2005年2月10日(木)〜

先週、ドラゴンズの沖縄春季キャンプを覗いて来た。まず感じたことは、選手全員が、一つの目標に向かって練習に取り組んでいるということだ。
その目標とは勿論、去年あと一歩手が届かなかった『日本一』である。
去年のキャンプでは、『監督に認められたい』『何とかレギュラーの座を獲得したい』という、いわば自分のためのキャンプだったが、今年はチームの目標達成のためには自分が何をすればいいのか、という意識で各自が練習に臨んでいる。この差は大きい。

さらに今年は11人の即戦力ルーキーが新たに加わったが、その中でも面白いと思ったのが、まず野手では鎌田(ドラフト10巡目、トヨタ自動車)である。身長162センチは現在球界最小で、小兵選手の代表として知られた吉田義男・元阪神監督の163センチよりも低いが、守備練習でのキビキビした動きには見るべきものがあった。
ポジションがショートだけに、井端を押しのけるのは並大抵のことではないが、将来レギュラーに定着するには、例えば川相のようにバントをやらせたら絶対に失敗しない、赤星のように足を使える、など"自分はこんな野球が出来る"というアピールをすることだ。精悍でいい面構えをしているし、練習熱心さも買える。今後に注目したい。

一方、投手では金剛(9巡目、日本通運)が楽しみな存在だ。力強いストレートの他に、独特のフォークを持っている。最近のピッチャーが投げるフォークは、フォークと言うより、ボール一個分しか落ちない『スプリット・フィンガード・ファストボール』に近いものが多いが、彼の投げるフォークは、ナックルのように揺れながらストンと落ちる『本物のフォーク』である。ブルペンで、余りの落差にキャッチャーが受け損ねるシーンもあったが、このボールが効果的に使えるようになれば一軍で即通用するだろう。ロングリリーフも出来そうだし、僅少差での中継ぎで使うと面白いのではないか。

こういう楽しみな新戦力が現れると、他の若手選手たちもウカウカしてはいられない。確固たる目標を持ち、いい意味での競争意識が芽生えている今年のドラゴンズは、去年よりさらに強い野球を見せてくれることだろう。

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