いよいよ開幕、今季のドラゴンズ・強さの秘密は?
〜2005年4月7日(木)〜

開幕5戦を終え4勝1敗と、見事なスタートを切ったドラゴンズだが、試合を見ていて思うのは、去年よりまた一回り強くなっている、ということだ。今年の 強さの秘密は、各選手が『自分のやるべき事をよく分かってプレーしている』ことに尽きる。
開幕第2戦、高橋光信が大魔神・佐々木から放った『代打逆転サヨナラホームラン』は素晴らしかったが、この試合で見落としてはいけないのは、3点を追う5回裏・1死満塁、打順はトップに還って荒木の場面である。通常、一番打者は一・二塁間を狙ったり、ピッチャーの足下を狙うバッティングをするものだが、この時荒木は、思いっきり外野を狙って振って行った。結果、レフトへの犠牲フライとなり1点が入ったのだが、これはただ振り回しに行ったのではない。『どうしてもここで1点取って、差を縮めないと』という意識があったからこそ出来たバッティングである。『いま自分に求められていることは何か?』を考え、プレーしている証しだ。
さらに見逃せないのが、この時三塁ランナーの井上だけでなく、二塁ランナー谷繁、一塁ランナー森野も同時にタッチアップし『2死二・三塁』の形にしたことだ。犠飛が上がった時に二塁ランナーも進塁するのはよくあることだが、スキを見て一塁ランナーまで進塁するケースはそんなにない。常に先の塁を狙う姿勢と『二・三塁にすれば一打同点、絶対にこの回に追い付くんだ』という意識が、三者タッチアップ成功に繋がったのだ。

また開幕戦、三浦との投げ合いを制したエース・川上のピッチングも見事だったが、実はこの試合、川上は5回までに5安打を許し、決して本調子ではなかった。しかし5回表、ノーアウト一・三塁の場面で見せたフィールディングが素晴らしかった。
ピッチャーゴロを処理すると、すぐ三塁方向を見てランナーを釘付けにし、そのまま体を捻って二塁に送球。一塁走者をフォースアウトにし、なおかつ得点も許さなかったのである。この場面、すぐ二塁に送球し、1点を許す代わりに併殺を取るという選択もあったのだが、三浦の出来を考えると『先に点を許してはいけない』という意識、これぞエースの自覚である。この好プレーをキッカケに川上は立ち直り、以降を1安打に抑え完封勝利を飾った。こういうピッチングが出来るなら、今シーズンも去年同様の活躍が出来るはずだ。

そして既に3本のホームランを打っているウッズも、ただ一発を狙うのではなく、ランナーのいる場面では右方向を狙ったりと、ベイスターズ時代とは違ってチームバッティングに徹している。元々が広角に打てる器用なバッターだし、こういう選手が四番に座っているのは大きい。
選手が自分の役割を認識し、しっかり結果を出している今年のドラゴンズ、こういうチームは強い。連覇の可能性は高いとみた。

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