さあ7月攻勢、カギはローテーション
〜2005年7月1日(金)〜

先週行われた注目の首位決戦、ドラゴンズは首位タイガースに1勝2敗と負け越し、差を広げられてしまった。私は「現時点では、勝敗より内容が大切」と言ったが、この3連戦は交流戦中に揺らぎが生じた「投手も含めた守り勝つ野球」を取り戻す絶好の機会だった。選手個々のプレーに関しては、それを感じさせる場面も見受けられたが、私が一つ大いに気になったのは、先発陣の起用法、特に「初戦にエース・川上を持って来なかったこと」である。

ローテーション通りなら、ここは「川上vs井川」のエース対決になる筈だった。ところが、ドラゴンズ首脳陣はこの対決を避け、初戦は野口・2戦目に川上・3戦目に山本昌というローテーションを組んできた。このローテの意図するところは「あわよくば3連勝を狙おう」である。川上を井川にぶつければ、不調とはいえ向こうもエース、落とす可能性はある。だが川上を2戦目にずらして安藤にぶつけ、最後にタイガースと相性のいい山本昌(昨年7勝)を持って来れば、野口の出来次第では3タテ→逆転首位も見込める…とまあ、そんな計算だったのだろう。しかし、シーズン終盤ならいざ知らず、この時点でそういった策を弄する必要はなかったと思う。むしろ、初戦に堂々とエースをぶつけて行った方が選手たちの気構えも違ってきたはずで「本来の野球」を取り戻すにはそうすべきだったのだ。結果はご存知の通り、初戦・2戦目をいずれも逆転負けで落とし、トータル負け越し。首脳陣の目論見は裏目に出たばかりか、逆にエース・井川を勝たせたことでタイガースを勢い付かせてしまった。そして3本柱を全てこの首位決戦に注ぎ込んだため、続く最下位カープとの3連戦は先発陣が手薄になり、せっかく打線が打ちまくったにも拘わらず、2カード連続で負け越すことになった。本来なら山本昌はカープ戦に回すべきだったし、そうすれば最低でも勝ち越せたはずだ。ローテを崩してまで3連勝を狙ったツケが回ってきたわけである。

今週の北陸シリーズは初戦が雨で中止となり、もう一度ローテーションを組み替えるいい機会になった。次週はジャイアンツ・タイガースとの地元決戦が控えている。今度は小細工をせず、正面からぶつかって行き、地元ファンの前で「ドラゴンズ本来の野球」を披露してもらいたい。

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