天王山・阪神戦を前に… 巨人戦での収穫は?
〜2005年7月8日(金)〜

今週行われた中日ー巨人2連戦は、久々に見応えのある戦いだった。ドラゴンズにとって、巨人戦は2ヵ月半ぶりになるが、このところジャイアンツは投手陣が先発・中継ぎ・抑え共に安定してきており、野球が堅実になって来ている。交流戦終了直後の休日に堀内監督が、ローズを含め全員参加のバント練習をやらせたと聞き「これは侮れないぞ」と思った。細かいバント技術は一朝一夕で身に付くものではないが、これからは確実に点を取り、投手がそれを守っていく「手堅い野球」をやって行くぞ、という姿勢を首脳陣が選手に示したことが大事なのだ。
それが実ったのが初戦である。先発・工藤が7回を立浪のソロホーマーだけに抑え、清原がホームランを狙わずセンター返しで決勝タイムリー、最後は久保ー木佐貫のリレーで締めて勝つという、まるでドラゴンズのお株を奪うような堅実な野球で競り勝った。こういう野球が出来るようになると、元々地力のあるジャイアンツは強い。

一方、ドラゴンズはこれで3連敗。タイガース戦を控え、第2戦は絶対に負けられない一戦だったが、ここでエース川上がよく踏ん張った。ここまで4試合連続で勝ち星から見放されていた川上だったが、これはエース特有の「勝たなきゃいけない」という焦りが原因だろう。「勝たなければ」という追い込まれた意識だと、結果的に消極的なピッチングになってしまう。そうではなく、こういう絶体絶命の状況でこそ「攻めの姿勢で勝ちに行く」ことが大切なのだ。自分なりの攻め口で「どうだ、打ってみろ!」とどんどんバッターに向かって行く。そうすれば自信を持って投げている分、球に気持ちが入り、たとえ打たれても失速するものなのである。
この日の川上は、相手がジャイアンツ、しかも上原とのエース対決ということで、内心期するところがあったのだろう。「意地でも勝つんだ」という姿勢がピッチングから感じ取れた。こういう攻めの意識を思い出したことが一番の勝因である。負ければ優勝戦線から脱落しかねなかったこの一戦を、エースが勝ってモノにしたのは非常に大きい。

さて、今日から前半戦の天王山・タイガース戦が始まる。向こうは現在5連勝中。ドラゴンズに7ゲーム差を付け独走態勢に入りつつあるが、ここで大事なのは、前にも言ったが「全員で1点を取りに行き、それをしっかり守り抜く」ドラゴンズ本来の野球を思い出すことである。そのカギを握るのが、一番打者・荒木である。今シーズンの荒木は出塁が少なく、その結果、二番・井端とのコンビネーションプレーが発揮できないケースが多い。しかし今回のジャイアンツ戦では、初戦はノーヒットながら2四球を選び、第2戦は2安打1四球と3度も出塁、特に5回のヒットは福留のスリーベースでホームを踏み、これが決勝点となった。やはり足のある荒木が出ると、相手投手にとっては脅威である。タイガース戦では、盗塁王争いのライバル・赤星との直接対決でもある。この3連戦、斬り込み隊長としての活躍を期待したい。

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