V奪回に向け、秋季キャンプの持つ意味
〜2005年11月5日(土)〜

プロ野球界は、いよいよ本格的なオフシーズンに入り、来季に向け各チームとも秋季キャンプを行っている。ドラゴンズの選手たちもV奪回に向け、沖縄で日夜ハードな練習に取り組んでいるが、ただ闇雲にトレーニングを積めばいいというわけではない。選手によって課題は異なるのだから、きちんと自分なりの目標を持ってキャンプに臨まないと、それこそ「ただ体を動かしただけ」に終わってしまう。落合監督は、選手時代から「本当に自分のためになる練習」を自ら考え、寸暇を惜しんで熱心に取り組んでいた。時にキャンプで一人別行動を取ったりしたが、それもちゃんと成算があってのこと、ただ独善的に行動していたわけではない。事実“オレ流”のやり方で三冠王3回という素晴らしい結果を残したのだから誰にも文句は言えないわけで、それでこそ本当のプロなのだ。

ドラゴンズの選手の中にも、いい意味での“オレ流”で秋季キャンプに臨んでいるプレーヤーがいる。打線の柱・福留だ。今季の成績は、打率.328(リーグ2位)、103打点(同4位)、ホームランは30本に届かなかったが28本。そして出塁率はリーグトップの.430と、五番打者として申し分のない成績を残した。だが、福留自身はこの成績に納得していないようだ。ナゴヤ球場で秋季練習がスタートすると同時に、打撃フォームの改造に着手したのはその表れである。

普通フォームを変えるのは不振に陥った時にするものだが、それなりの成績を残したオフにこれまでの方法論を変えようというのだから、相当勇気がいる行為だ。先日、番組でインタビューしたところ「今年の打ち方だと、一旦不振に陥った時、調子を取り戻すまで長く掛かる。すぐに修正の利くバッティングフォームにしたい」と、はっきり打撃改造の理由と目標を語っていた。自分がシーズンを通してコンスタントに打つことが、優勝に不可欠だと自覚しているからこそである。監督が何も言わなくても、選手各自が自発的にやるべき課題を見つけ出し、自分でその方法を考える…これこそ、落合監督の目指す“オレ流野球”であり、本当に強いチームは、そういう選手の集合体なのだ。V9時代のジャイアンツにおける長嶋・王もそうだったし、私も現役時代は、マウンドからキャッチャーミットまで“赤い線”が見えるくらい投げ込んだ。そのくらい練習してコントロールを培ったのである。

自己満足でなく、来季、自分がやるべき役割を想定して、いかに高いレベルでそれを実現して行くか。V奪回は全て、選手の意識ひとつに懸かっている。

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