希望入団枠・吉見投手 プロ入り前に望むこと
〜2005年12月2日(金)〜

先日のスポスタで、ドラフト「希望入団枠」でのドラゴンズ入団が内定しているトヨタ自動車の右腕エース・吉見一起投手(21)について特集した。
彼にとってアマチュア最後の大会となった社会人野球・日本選手権(大阪ドーム)でのピッチングを見せてもらったが、なかなかいいものを持った素材といえる。以前、大学・社会人ドラフトが終わった直後、練習でのピッチングをVTRで見た時は、正直、フォームにちょっと心配な点があった。投げる際に、首が右側に倒れるクセがあったのだ。これだと肩を十分に使っていないスイングになるため、ヒジに余分な負担が掛かり、故障につながる恐れがある。
実際、吉見投手は右ヒジを痛めて実戦から離れており、今回の日本選手権が故障明け初の実戦登板だったのだが、ピッチングを見たら、首が曲がる悪いクセが直っており安心した。投げる際の体の軸もしっかり安定し、腕も良く振れていた。これならコントロールも定まり、スピードも出る。こういう正しいフォームで投げていれば、本来の実力が発揮できるはずだ。即戦力として、1年目から働いてくれる可能性も大いにある。

タイプとしては先発完投型だが、ただプロとしての筋肉はまだ出来ていない。それをこれから作っていくわけだが、春季キャンプが始まるまでの2ヵ月をどう過ごすかは非常に重要だ。どういうトレーニングを積むかだが、私が薦めたいのは「キャッチボール」である。野球の基本中の基本だが、ピッチャーにとっては大切な練習の一つだ。たかがキャッチボール、といい加減にやってはいけない。身体全体を使い、きれいな腕のスイングを心掛け、そして足腰の運びも正しく投げる…一球一球キチッと投げるのは、簡単そうでなかなか難しいことなのだ。
これを毎日2〜300球欠かさず続けることによって、正しいフォームが身に付き、そして肩ヒジに「野球に必要な筋肉」も付いていく。これが大きい。ヒジ故障明けの吉見投手には、まさにうってつけの練習法だと思う。
肩の関節を上手く回し、腕の軌道を一定にする…キャッチボールに加え、テニスのラケットを振るラケットスイングも同時にこなしていけば、必ずや成果は表れるはずだ。まだ契約はこれからだが、ドラゴンズの一員となった暁には、来季の一軍ローテーションを窺う存在になってほしいと思う。

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